深大寺 釈迦堂は、東京都調布市深大寺元町にある寺院です。

深大寺の境内にある釈迦堂は、1976年に新築された建物です。鉄筋コンクリート造りで、高床式という構造を採用しており、湿気の多い土地柄を考慮した設計になっています。堂の屋根は方形造りで銅板葺き、頂部には露盤と宝珠がすえられ、落ち着いた印象を与えます。山門を入って左手奥に位置し、静かな雰囲気の中に佇んでいます。

釈迦堂には、国の旧国宝に指定された白鳳仏が安置されています。正面の鉄の扉を開けると、ガラス越しに拝むことができます。外からの光が内部に反射しないように、正面にはアルミ製の格子が立てられており、梵字が意匠として施されています。堂の正面を引き締める役割も果たしており、落ち着いた美しさが感じられます。

2024年1月1日には、年初の参詣者に向けた案内板が本堂前にて掲示されていました。混雑する時期でも、整理された動線が整っており、ゆったりと参拝をすることができます。

釈迦堂は地面より一段高い場所に建てられています。境内の中心から少し外れた場所にあるため、直接正面から入るよりも、乾門や元三大師堂の脇道を使って回り込む形になります。このアプローチは静かで、建物が見えてくるまでの道のりも趣があります。

釈迦堂は高床式で建てられており、参道からは橋のように造られた通路でつながれています。その通路の先には、白鳳仏を拝もうとする列ができていました。列は一見長く見えましたが、進みは非常にスムーズで、滞りなく前へと進むことができます。

釈迦堂の前には、赤いだるまと並んで「賓頭盧尊者(おびんずるさま)」の像が置かれています。やや控えめな大きさですが、その存在感は堂前の空気をやわらかくしており、参拝する人の目を引いています。堂前に立つと、この像の周囲に自然と人が集まってきます。

おびんずるさまは「なでぼとけ」として知られ、自分の体の悪い部分と同じ箇所を撫でることで、病気平癒を願うという風習があります。多くの参詣者が立ち止まり、優しく像を撫でていました。頭や肩、膝など、さまざまな部分が撫でられています。

長年撫でられ続けているため、おびんずるさまの顔や頭の表面は滑らかに光っています。とくに顔は、よく撫でられる場所であることがわかり、光沢が他の部分と明らかに違っています。手入れも丁寧にされているようで、清潔感があります。

おびんずるさまの像は、長年にわたり多くの手によって撫でられてきました。とくに頭部や膝は撫でられることが多く、表面が黒ずみ、つやを帯びています。その色の変化は、参拝者が願いを込めて触れてきた積み重ねの証といえます。

釈迦堂の内部は撮影禁止となっており、実際に足を運んで拝むことが大切にされています。春日厨子の美しい細工や、堂内に安置されている重文の梵鐘など、見どころは多くありますが、それらを記録ではなく記憶に刻むという体験になります。静けさの中での拝観は印象的です。

白鳳仏を守るために造られた釈迦堂は、建築としても機能美が感じられ、内部の厨子や梵鐘など、見どころに満ちた場所です。周囲の雰囲気や参拝体験とあわせて、静かに仏に向き合える貴重な空間となっています。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。
- 2024/01/01 初版
- 2024/12/07 更新