葛飾区郷土と天文の博物館 郷土展示室 かつしかのくらしは、東京都葛飾区白鳥にある博物館です。

葛飾区郷土と天文の博物館は、地域の歴史と宇宙の神秘を一度に体験できるユニークな施設です。1992年に開館し、郷土博物館と天文博物館が融合したスタイルは全国的にも珍しく、幅広い世代に知的好奇心をくすぐる場となっています。常設展示では、葛飾の自然や暮らし、文化の変遷をじっくりと学ぶことができ、地域の歩みを肌で感じることができます。

館内には、郷土展示室、天文展示室、特別企画展示室、プラネタリウムなど、さまざまな見どころがありますが、このブログでは郷土展示室に焦点を当てます。郷土展示室では、地域の歴史や文化を深く知ることができる展示が行われています。時代ごとの資料や、地域の産業、生活の変遷を学ぶことができます。
郷土展示室 かつしかのくらしに足を踏み入れると、まるで昭和時代に迷い込んだかのような不思議な感覚になります。郷土展示室 かつしかのくらしに足を踏み入れると、まるで昭和時代に迷い込んだかのような不思議な感覚になります。

展示されている家屋は木造で、少し汚れをイメージした杉板が使われています。その経年変化が、ただの模型ではなく「そこに暮らしていた人の存在」を感じさせてくれます。まるで時代の空気がそのまま漂っているようです。

戦後の経済を支えた葛飾区の町工場が再現されています。展示ではボルトやナットの製造現場がそのまま残され、まるで作業中のような空気が漂っています。エアコンは設置されておらず、夏場はさぞ暑かっただろうと想像させる扇風機が無造作に置かれています。かつてのものづくりを五感で感じる展示です。

展示は少し薄暗く、白熱電球の灯りがじんわりと工場内を照らしています。窓はすりガラスで、外の景色はぼんやりとしか見えず、室内には当時の湿った空気がよみがえるような感覚があります。工具や機械がきれいに並び、まるで今にも職人たちが戻ってきて作業を始めそうな雰囲気があります。

復元された住居の茶の間には、畳が敷かれ、ちゃぶ台の上には食卓が再現されています。ほうきや黒電話、レトロな食器棚が並び、まさに昭和30年代の日常がそのまま蘇ります。白黒テレビには当時のヒーローが映し出され、昭和の空気感が感じられます。これらの懐かしいアイテムが、当時の生活そのものを思い起こさせてくれます。

住居のそばには庭のような場所があります。ベンチが置かれており、小休止できるスペースとなっています。もし当時なら、物干しや植木鉢が置かれていたことでしょう。そのような空間は、生活の息吹が感じられ、どこか懐かしさを感じさせてくれます。まるで昭和の暮らしがそのまま息づいているかのようです。

この場所には、けん玉、ビー玉、メンコといった懐かしいおもちゃも展示されています。実際に手に取って遊ぶことができ、どこか懐かしい感覚に包まれます。これらのおもちゃは、昔遊んだ記憶をよみがえらせ、子どもの頃の無邪気な時間を思い出させてくれます。展示を通じて、あの頃の楽しさが再び感じられる場所です。

展示室の一角には、ダイハツ・ミゼットが展示されています。丸みを帯びた車体と昭和の色彩が印象的で、今もなお色褪せることなく、当時の存在感をそのまま保っています。幅が狭く、当時の狭い街並みや交通環境にぴったりとフィットするデザインが特徴的です。

江戸時代に描かれた宝永御江戸図が展示されています。新たな視点で土地を読み解くことができ、地名や歴史に対する理解が深まります。地図を通じて、江戸時代の姿を感じ取ることができる貴重な展示です。

葛飾区を構成する江戸期の村名の地図もありました。書かれている村には、現在の地名につながる場所が多いことに気づきます。それを探しながら、葛飾区の土地の歴史を新たな視点で読み解くことができ、興味深い発見をすることができます。

地図パズルのコーナーでは、葛飾区全体の地形を学ぶことができます。表面の地図を見て組み立てるのは簡単ですが、あえて裏返しにすると、後ろは真っ白な状態です。このチャレンジは難易度が上がり、大人でも楽しむことができます。

表に書かれた地図の形や地形を想像しながら完成させることで、葛飾区の地理に対する理解も深まります。パズルを完成させた時には達成感があり、展示に一層親しみが持てるようになります。

展示室の一角では、かつしかの産業に関する資料が紹介されています。稲作に使われた農具や、水車の模型など、地域の暮らしと結びついた生産活動がわかる内容です。地域で作られた太鼓の展示もあり、祭りや日常の中で使われた道具としての側面を知ることができます。

食卓のコーナーでは、時代や季節ごとの食文化を紹介しています。ご飯のある食卓を再現した展示に加え、お盆の時期のお供えや、幕の内弁当、お団子なども並びます。器や盛りつけも時代背景に合わせており、当時の人々の暮らしぶりを具体的に感じることができます。
葛飾区郷土と天文の博物館 郷土展示室 かつしかのくらしは、懐かしさと新しい発見の両方を体験できる空間です。葛飾区の今と昔が交差するその場所で、時代の流れをゆっくりと感じることができます。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。