深大寺 深沙大王堂は、東京都調布市深大寺元町にある寺院です。

深大寺 深沙大王堂は、深大寺の西端に位置する小堂です。水神である深沙大王を祀るこの堂は、かつては「深沙大王社」と呼ばれていました。明治元年の神仏分離令により旧堂は解体されましたが、1968年に再建され、現在に至ります。建物自体や安置される宮殿(厨子)は市内最古の建築とされ、有形文化財にも指定されています。

深沙堂の周辺は深大寺の中でもとりわけ自然が豊かで、四季折々の木々の表情を楽しむことができます。春の新緑、夏の深い緑陰、秋の紅葉、冬の静けさと、参拝のたびに異なる趣を感じることができます。深大寺のにぎわいから少し離れたこの場所は、ひっそりとした空気をたたえています。

現在の建物は1968年に再建されたもので、正面約4.5メートル、奥行き約6.3メートルの規模を持っています。屋根は入母屋造で銅板葺き、正面を正面とする妻入り形式を採用しています。外観は落ち着いた色合いで、堂々としたたたずまいの中にも、凛とした美しさを感じることができます。

建物正面には向拝があり、その下に進むと自然と手を合わせたくなる雰囲気があります。絶え間なく人が訪れては手を合わせ、深沙大王への感謝や願いを届けています。向拝部分は控えめながらも重厚で、木組みの力強さと技巧が静かに主張しています。

向拝の上部には「深沙大王」と記された扁額が掲げられています。その周囲には、多くの神社札が丁寧に貼られており、ここを訪れた人々の祈りの痕跡を感じ取ることができます。年月を経て色あせた札も多く、かえってその古びた質感が、ここに積み重ねられた信仰の歴史を物語っています。

堂の背後には、深大寺の開創にも関係するとされる泉が静かに湧き出ています。この場所を横目に参道を進めば、元三大師堂や開山堂へと至るルートに合流します。自然と人の信仰が交差するこの小さな流れが、深大寺という空間全体の息吹を支えているように感じられます。

深沙大王堂は、深大寺の由来に直結する神聖な場所でありながら、控えめなたたずまいで訪れる者を迎えてくれます。建物としての価値だけでなく、泉を含めた環境全体が歴史と信仰を今に伝えています。深大寺を歩くなら、ぜひ立ち寄ってみたい一角です。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。