静寂の中の教え 清澄寺 御仏舎利塔

清澄寺 御仏舎利塔は、千葉県鴨川市清澄にある礼拝所です。

清澄寺 御仏舎利塔

千葉県鴨川市の清澄寺は、日蓮宗四霊場のひとつとして知られています。久遠寺、池上本門寺、誕生寺と並び、歴史ある聖地とされる清澄寺の本堂からさらに150メートル奥に進んだ場所に、白い仏舎利塔がひっそりと構えています。この仏舎利塔は、日本山妙法寺によって建立されたもので、仏陀の教えを現代に伝えるシンボルとして存在しています。

清澄寺 御仏舎利塔

清澄寺の境内を歩いていくと、樹齢千年ともいわれる大スギがそびえています。その木をくぐり抜けるようにして小径を進むと、山の中とは思えないような開けた空間に出ます。そこに突如として現れるのが、大きく美しい塔です。静寂の中に堂々と立つその姿は、ひと目で目を奪われる存在です。

清澄寺 御仏舎利塔

視界の先には、純白の仏舎利塔が鎮座しています。塔の正面には一直線に階段が伸びていて、かなりの段数があります。登る途中、自然と背筋が伸び、心が整っていく感覚になります。塔の白さと空の青さのコントラストも印象的で、まるで異世界のような趣があります。

清澄寺 御仏舎利塔

塔のある場所は山中にも関わらず、広々とした平地となっており、そこにこの巨大な仏舎利塔が立っています。そのスケール感は、山の静けさの中に不思議な浮遊感を与えてくれます。まるで夢の中で見たような光景が、現実として目の前に広がっていました。

清澄寺 御仏舎利塔

御仏舎利塔の特徴のひとつは、塔の周囲を巡ることができる点です。白い塔の外壁をなぞるように、静かに足を運んでいくと、光と影が刻一刻と移り変わっていくのがわかります。太陽を背にしたとき、塔は陰影をまといながら落ち着いた佇まいを見せ、反対に正面に太陽が来たときには塔全体が光を浴び、その白さが際立ちます。

清澄寺 御仏舎利塔

塔の四方には、それぞれに窓が設けられており、その中に仏陀の像が安置されています。これらの像は東西南北を向き、それぞれに異なる表情と姿勢をしています。4体の像は、仏陀の生涯を順に表現しています。

清澄寺 御仏舎利塔

4体の像は、誕生(降誕釈尊像)、修行の末に悟りを開いた場面(降魔成道釈尊像)、人々に教えを説く姿(説法釈尊像)、そして最期を迎える場面(涅槃釈尊像)です。この4つの像を通して、仏陀の一生を視覚的にたどることができます。

清澄寺 御仏舎利塔

ただ回るのではなく、これが仏陀の生涯の巡礼であると意識して歩くと、塔を一周する体験そのものが一種の瞑想のように感じられます。それぞれの像の前に立つたびに、静かに手を合わせる人の姿もあり、無言の祈りがこの場を包み込んでいるようです。

清澄寺 藤井日達聖人像

御仏舎利塔の側には、日本山妙法寺の開祖である藤井日達聖人の像が据えられていました。正面をまっすぐに見据えた姿で、両手を合わせ、まるで祈りの中にいるような雰囲気をたたえています。この像があることで、御仏舎利塔がただの記念碑ではなく、思想と信念の結晶であることを感じることができます。

妙法寺 大僧伽

御仏舎利塔の南側には、静かに延びる一本の道があります。その先には「大僧伽(だいそうぎゃ)」と呼ばれる建物があります。そこは信仰と修行のために設けられた場所で、誰でも気軽に立ち入るような雰囲気ではありません。仏舎利塔の開けた広場とは対照的に、この道は静けさに包まれ、どこか隔離された空間のようにも感じられます。

清澄寺 御仏舎利塔

清澄寺の奥にある御仏舎利塔は、ただの建造物ではなく、仏陀の教えとその生涯を視覚的に体感できる場所です。山中に突如現れる白亜の塔の存在感と、静かに配置された四つの像が、訪れた人の心を落ち着かせ、思索へと導いてくれます。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。