平林寺は、埼玉県新座市野火止にあるお寺です。
平林寺は、約40ヘクタールの広大な敷地を有する寺院です。武蔵野の自然がそのまま残された境内林は、国の天然記念物に指定されています。平林寺は、四季折々の美しい風景が広がり、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの空間です。
総門と山門を抜けると、仏殿が見えてきました。仏殿は、間口6間、奥行5間半の単層入母屋造りで、端正かつ威厳ある佇まいです。埼玉県指定の有形文化財です。
扁額には、江戸中期の書家三井親和(みついしんな)の揮毫による「無形元寂寥」の扁額が掲げられています。本尊には釈迦如来坐像、脇侍には迦葉尊者と阿難尊者を祀ります。
仏殿の奥には非公開の本堂があります。本堂からは、木魚の音と読経の声が聞こえてきます。静寂な寺内に、荘厳な調べが響き渡ります。鳥のさえずりが重なり合い、時の流れを刻んでいます。
仏殿の前には、高野槇と、さざれ石があります。高野槇の樹高は約25メートル、根廻は約6メートルの巨木です。推定樹齢は600年超で、堂々とした風格です。高野槙の巨木と、悠久の時を刻むさざれ石の組み合わせは、まさに日本の伝統的な風景美を感じさせます。
平林寺 さざれ石は、島根県出雲仏教山産です。二酸化炭素を含んだ雨水が、石灰石を溶解し、乳状液を生成するという過程で周囲の小石を凝結して巨岩化したものです。小さな石が集まって大きな岩となることから、永続性や安定性を象徴しています。
中門は、間口8尺、奥行1間4尺で両扉を付けた、総門をそのまま小さくしたような切妻造りです。埼玉県指定の有形文化財で通年閉門しています。山門、仏殿、中門の4棟は総門から一直線上に配されています。
戴渓堂(たいけいどう)は、日本に書法・篆刻を伝えた独立性易(どくりゅうしょうえき)禅師を祀るお堂です。独立禅師は、第4代将軍徳川家に仕え、長崎から江戸に随行した日本篆刻(てんこく)の祖です。
平林寺は、数多くの文化財を有し、四季折々の美しい自然と歴史的な建造物が調和した、素晴らしい寺院です。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。