ガスミュージアム ガス灯館は、東京都小平市大沼町にあるミュージアムです。
ガスミュージアムは、ガスとその歴史に関する貴重な資料を展示し、明治時代から現代に至るガス事業やガス器具の発展を知ることができる施設です。館内は、ヨーロッパ風の煉瓦造りの外観と美しい庭園が特徴で、訪れる人々に落ち着いた雰囲気です。施設は3つに分かれており、それぞれ異なる視点からガスの歴史や文化を楽しむことができます。
ガス灯館は、1909年に東京ガスの出張所として文京区本郷に建てられた建物を移設復元した施設です。この建物は明治時代の雰囲気を残しており、当時の文明開化の象徴でもあるガス灯や創世期のガス事業の歴史を紹介しています。
ガス事業の歴史の中でも、渋沢栄一の貢献は特筆に値します。館内には渋沢栄一に関するパネルが設置されており、彼が民間ガス会社の設立に尽力し、初代社長を務めたことが紹介されています。明治時代、日本の産業発展に大きく寄与した渋沢の活動は、ガス事業においてもその影響力を発揮しました。
2階にはギャラリーが設けられており、収蔵資料14,000点を活かした企画展が年数回開催されています。ただし、2階での撮影は禁止されているため、詳細な写真は残すことができません。静かで落ち着いた雰囲気の中、展示物をじっくりと観察することができます。
ガス灯館では、実演を体験することができます。展示室には椅子が整然と並べられており、観覧者は指定された時間まで座って待つことができます。実演は観覧者にわかりやすく、ガス灯の仕組みや歴史について学ぶ貴重な機会を提供しています。この待ち時間中、展示品や解説パネルをじっくりと見ることで、展示内容への理解を深めることが可能です。
実演が始まると、まず室内の照明が暗くなります。これは、ガス灯の明るさや雰囲気をより際立たせるための演出です。実際に暗い中で灯されるガス灯の明かりは、かつての暮らしの一端を感じさせるもので、現代の照明との違いを体感することができます。
実演では、裸火 (むき出しの炎)のガス灯が紹介されます。裸火のガス灯は炎が揺らめき、独特の暖かさを感じさせるものですが、その一方で明るさが不安定です。この不安定な明るさは、当時の利用者にとっては不便さを伴うものでしたが、それが改良のきっかけとなり、後のガス灯の進化へとつながっていきます。
次に紹介されるのが、ガスマントルを用いたガス灯です。このタイプは裸火とは異なり、炎がガスマントル内で安定するため、より目に優しく実用的です。マントル型のガス灯の登場によって、街路や家庭での使用が広がり、ガス灯の利用が一気に進んだことがわかります。
ガス灯館では、花型ガス灯という装飾的なガス灯も展示されています。このガス灯は、現代で言うイルミネーションのような存在であり、当時の人々を楽しませました。美しいデザインと明かりの組み合わせが、ガス灯の芸術性を物語っています。
1877年上野公園で開催された第一回内国勧業博覧会において、花ガスと呼ばれるイルミネーションが登場しました。この花ガスは16分割された菊の模様をかたどったガス灯で、当時の観覧者に驚きと感動を与えたと伝えられています。
展示品には、ガスが灯火用から燃料用へと変遷していった歴史も示されています。1915年頃から灯火用ガスの需要は減少し、1923年には燃料用が主流となりました。この変化は、ガスが「熱源」としての役割を担うようになったことを象徴しています。館内の展示を通じて、こうした生活の変化を視覚的に理解することができます。
ガス灯館は、明治から昭和初期にかけてのガス事業の発展を学び、当時の生活や技術に触れることができる施設です。展示と実演を通じて、ガス灯が果たした役割や、そこに込められた技術者たちの努力を感じ取ることができます。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。