竜華池は、山梨県甲府市古府中町にある池です。
甲府市北部、武田神社の北側に位置する竜華池は、四季折々の自然風景を楽しむことができる池です。池の周囲には散策路が整備されており、春は桜が池の水面に映え、秋には紅葉が彩りを添えます。静かな水面に風景が写り込む様子は、時間を忘れて見入ってしまうほどです。市街地のすぐ近くにありながら、自然の中をゆったり歩くことができる貴重な場所です。

竜華池の湖面は、風のない日には鏡のように穏やかで、青空や流れる雲をそのまま写し出しています。水面に揺れる影は、まるで空と地上が一体となって存在しているようです。周囲にはビルや大きな道路もなく、聞こえるのは鳥の声や風に揺れる木々の音ばかりです。まさにのどかな田舎の池といった風情です。

竜華池は冬になると、湖面が凍ることがあります。池の北側には要害山がそびえており、その影により太陽の光が届きにくく、特に朝や夕方には池の多くが日陰になります。そのため、冷え込みが強い日には水面が一部凍結するのです。凍った湖面に薄く雪が積もる様子は、厳かな冬の景色として印象に残ります。


池の一角には、かつて行われた改修工事を記録した記念碑が設けられています。長年の風雨により堤体に損傷が生じ、漏水や安全性の低下が問題となったため、平成初期に大規模な改修工事が実施されました。記念碑には、その経緯や工事の詳細が刻まれています。当時の関係者の努力が今の池の風景を支えていることを知ることができます。

竜華池は治水の役割も担っています。池の堤体には自由越流式と呼ばれる排水機能が備わっており、大雨などで水位が上がった際に、一定の高さを超えると自然に水が下流へと流れるようになっています。堤体の天端に設けられた開口部から越流することで、池の決壊や氾濫を防ぐ構造です。こうした設備により、安心して周囲を散策することができます。

竜華池の東側には、戦国武将・武田信玄を祀る武田神社があります。その神社の境内には、信玄公の居館跡とされる躑躅ヶ崎館跡も残されています。池の風景を楽しみながら、すぐ近くで歴史の足跡にも触れることができる点が、この地ならではの魅力です。自然と史跡が調和する景観は、何度訪れても新しい発見があります。

機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。
- 2023/11/24 初版
- 2025/01/05 更新