歴史と自然が調和する神聖な空間 桃園神社

桃園神社(とうえんじんじゃ)は、山梨県南アルプス市桃園にある神社です。

桃園神社

桃園神社は、貞純親王を祭る神社で、京都の六条桃園に御所があったことに由来します。社名の「桃園」は、親王が過ごした場所にちなんでいます。地元では「院の宮」とも呼ばれ、歴史的な背景が深い神社です。境内には多くの神社や古木があり、静かな雰囲気が漂っています。

桃園神社

桃園神社の見所の一つは、ヒノキの森です。駐車場からは、どこまでも広がるヒノキの並木を見ることができ、自然の美しさを感じることができます。森の奥行きは深く、空がところどころに見え、木々の間から光が差し込む様子が印象的です。地面には少しだけ草が生えており、静かな森の中で心が落ち着きます。

桃園神社

桃園神社の参道入口は、境内の南側に位置しています。社号標には「院宮 桃園神社」と大きな文字で書かれています。ここから歩き始めると、ヒノキの森を通り抜けて、神社の拝殿へ向かうことができます。

桃園神社

最初に目に入るのは立派な鳥居です。しめ縄がしっかりと掛けられており、その神聖さを感じさせます。扁額には「桃園神社」と刻まれており、その文字が神社の荘厳さを際立たせています。鳥居の先には、真っ直ぐに参道が伸びています。

桃園神社

桃園神社の参道は非常に整備されており、木立に囲まれた静かな道を歩くことができます。周囲には、さまざまな植物が自生し、まるで小さな植物園を感じることができます。緑豊かなエリアはとても穏やかで、自然の美しさを堪能することができます。

桃園神社

参道の途中、左手には神明宮があります。神明宮は、伊勢神宮を勧請して創建された神社で、天照大神を祀っています。参拝することで、五穀豊穣、開運招福などの御利益をいただけるといわれています。

桃園神社

参道の途中には、神門があります。神門は朱色に塗られており、その鮮やかな色彩が緑豊かな景観の中で際立っています。コンパクトながらも、神門は存在感があり、神聖な空間へと導く重要な役割を果たしています。

桃園神社

さらに参道を進むと、鮮やかな朱色の拝殿が見えてきます。参道の両脇には、光が灯る朱色の灯籠が点々と置かれており、その存在感を放っています。灯籠の温かな光が優しく導き、拝殿へと向かう道をより神聖なものに感じさせます。

桃園神社

桃園神社の拝殿と御本殿は共に入母屋造りで、質素ながらも優雅さを保っています。参拝する際、ここで心静かに願いを込めることができます。少しピンクがかったようにも見える色合いが特徴的で、桃園神社の名にふさわしい雰囲気です。

桃園神社

拝殿の前には広々とした空間が広がっています。広場には狛犬が向かい合うように鎮座し、拝殿を見守るような佇まいを見せています。その表情には年月を重ねた風格があり、神社の歴史を物語っているようです。周囲の木々と調和し、開放感のある空間が心を和ませてくれます。

桃園神社

桃園神社の見所の一つは、境内に広がるヒノキの森です。駐車場からもその姿を眺めることができますが、実際に足を踏み入れると、より深い魅力を感じることができます。長い歴史を刻んできたヒノキの木々が立ち並び、静寂の中に神聖な空気が漂っています。木漏れ日が差し込む森の中で深呼吸をすると、澄んだ空気が心を落ち着かせてくれます。

桃園神社

拝殿の左側には、赤い鳥居が特徴的な稲荷神社が鎮座しています。境内社のひとつとして、大切に祀られています。長い歴史を感じさせる佇まいを見せています。朱色の鳥居と木々の緑が美しく調和し、静かな雰囲気の中に神聖さを感じることができます。

桃園神社

稲荷神社の手前には、駒ヶ岳蔵王権現が鎮座しています。やや控えめな佇まいのため見落としがちですが、しっかりとした立派な祠です。蔵王権現は修験道と関わりが深く、険しい山々と縁のある神として信仰されています。静かに佇むこの祠に手を合わせると、古くからの祈りの歴史を感じることができます。

桃園神社

拝殿の右側には、天神宮が鎮座しています。学問の神として知られ、受験や勉学成就を願う人々に信仰されています。静かな空気に包まれながら手を合わせると、心が落ち着き、学問への決意を新たにすることができます。

桃園神社

天神宮の手前の参道には小さな祠が並びます。大山大明神は、独特の雰囲気を醸し出しています。周囲の木々に包まれた静謐な空間が広がります。長い年月を経て佇む祠は、静かでありながらも力強さを感じさせます。まるで異世界に足を踏み入れたかのような静謐な空間を作り出しています。

桃園神社

参道の途中には、右手に夫婦樅(モミ)の御神木があります。二本の木が仲良く並び、まるで寄り添うように立っている姿は圧巻です。長い年月をともに過ごしてきたその姿は、神聖な力を宿しているかのように感じられます。周囲の木立の中でも特に存在感があり、力強く天へと伸びる姿が印象的です。

桃園神社

夫婦樅は、その背丈の高さに圧倒されます。天へと真っ直ぐに伸びる姿は力強く、根元から見上げると、その壮大さをより感じることができます。木々の間から差し込む光が、神秘的な雰囲気を作り出し、神聖な空気を漂わせています。

桃園神社

長い年月を共に過ごしてきたこの二本の樅は、まさに夫婦のように寄り添いながら立ち続けています。特に注目すべきは、この木が欅ではなく樅の木であることです。周囲の木々の中で、樅の木はその独特の存在感を放っています。

桃園神社

桃園神社は、静かな自然と歴史が息づく神社です。境内は美しく整備され、参道の途中にそびえる夫婦樅や、学問の神を祀る天神宮など、見所がたくさんあります。特に、ヒノキの森や御神木の夫婦樅の存在感は、訪れる人々に深い印象を与えます。周囲の木々と調和した空間は、心を落ち着ける場となり、歴史ある神社でのひとときは、穏やかな気持ちをもたらしてくれます。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。

城跡に静かに佇む神社 新府藤武神社

新府藤武神社(ふじたけじんじゃ)は、山梨県韮崎市中田町中條にある神社です。

新府藤武神社

藤武神社は、山梨県韮崎市の新府城跡に鎮座する神社です。武田勝頼が新府城築城時に城の鎮守として祀りましたが、落城とともに焼失しました。その後、徳川家康が再建を命じ、「藤武神社」として復興しました。急な石段を登った先に境内が広がり、現在も歴史を感じることができます。

新府藤武神社

藤武神社の入口には、朱塗りの両部鳥居が建っています。扁額には「新府藤武神社」と書かれ、重厚な雰囲気を醸し出しています。鳥居の前は七里岩ラインに面しており、車の往来が多い場所です。ここから先は、新府城跡へ続く道となります。

新府藤武神社

鳥居をくぐると、230段の石段が続いています。この石段は急勾配で、登るのはかなり大変です。足元に注意しながら進む必要があります。地元の学生がトレーニングに使っている様子も見られます。

新府藤武神社

石段を避けたい場合、左手にある「乙女坂」を利用することもできます。こちらは石段ではなく、なだらかな坂道になっています。歩きやすいですが、距離が長くなるため時間はかかります。

新府藤武神社

乙女坂はジグザグに道が続いており、急な石段よりも負担が少ないです。距離は長くなりますが、ゆっくりと登ることができます。体力に自信がない場合はこちらのルートを選ぶのがよいでしょう。

新府藤武神社

途中まで登ると、ふもとの県道が見えます。ただし、周囲は森に囲まれているため、視界はそれほど開けていません。木々の隙間からわずかに街道の様子をうかがうことができます。

新府藤武神社

石段を登り切ると、再び赤い鳥居が迎えてくれます。その奥には拝殿が鎮座し、新府城の本丸跡に位置しています。ここまで登ると、静かで厳かな雰囲気に包まれています。

新府藤武神社

境内は広くはありませんが、静かで落ち着いた雰囲気です。拝殿は入母屋造りで、屋根には銅板が葺かれています。木彫りの装飾が施されており、細部まで丁寧に造られています。

新府藤武神社

拝殿の奥には神楽殿が建っています。神楽殿は祭事の際に使われる建物で、朱塗りの柱とシンプルな造りが特徴です。現在は普段使用されることは少ないようですが、神社の格式を感じさせる建物です。

新府藤武神社

拝殿の奥には本殿があり、一体となった造りになっています。本殿は一間社入母屋造りで、簡素ながらも整った意匠が施されています。本殿の裏手には、武田勝頼公霊社が祀られています。

新府藤武神社

藤武神社は、新府城跡に残る歴史を今に伝える神社です。

機会があれば、再度訪れてみたいですね。

それでは、また。

四百年続く平和への祈り 久能山東照宮 後編

久能山東照宮は、静岡県静岡市駿河区根古屋にある神社です。

久能山東照宮 唐門

拝殿正面に構える唐門は、重要文化財に指定されている門です。屋根は銅瓦本葺黒漆塗で、四方唐破風造となっています。細部には見事な装飾が施され、羽目板には唐獅子牡丹や黒松に鳥の透彫が見られます。その華やかさと格式の高さが感じられる門です。

久能山東照宮 唐門

唐門は、御社殿へと続く入口に位置しています。拝殿の正面に建てられており、門を通した先に御社殿が控えています。門越しに見える御社殿の姿は、さらに荘厳な雰囲気を引き立てます。造形美が際立ち、歴史的な建築としての価値も感じられます。

久能山東照宮 唐門

唐門は格式の高い門であるため、直接通行することはできません。そのため、右回りに迂回して進む形となります。迂回することで、異なる角度から門や御社殿の美しさを堪能することができます。

久能山東照宮 唐門

唐門の特徴的な意匠のひとつが、銅瓦本葺黒漆塗の四方唐破風造です。屋根の曲線が美しく、漆塗りの仕上げと金具の装飾が荘厳な雰囲気を演出しています。唐破風の下には、細かな彫刻が施され、華やかでありながらも、格式の高さを感じさせるデザインとなっています。

久能山東照宮 唐門

御社殿の内側から唐門を通して境内を望むと、その景色はまるで一枚の絵画のように映ります。黒漆塗の四方唐破風造の門が枠となり、その装飾の細やかさが風景をより引き立てます。唐獅子牡丹や黒松に鳥の透彫が施された羽目板が、重厚な雰囲気を醸し出し、歴史的な趣を感じさせる光景が広がります。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮は、徳川家康公を祀る霊廟として1617年に創建されました。現在の御社殿は、全国の東照宮の原型となった「権現造」の様式で造られています。江戸幕府大工棟梁・中井大和守正清が手掛け、漆塗や極彩色の装飾、緻密な彫刻が施された美しい社殿です。2010年には国宝に指定され、静岡市内で唯一の国宝建造物となりました。歴史と芸術が融合した貴重な建築を堪能することができます。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮の御社殿へ向かう入り口は、東側の日枝神社の横にあります。御社殿の正面には唐門がありますが、そこから直接入ることはできません。順路に沿って、神楽殿、神庫、竈神社、日枝神社を経由して御社殿へ向かいます。

久能山東照宮 御社殿

御社殿の周囲には、106枚の彫刻が施された玉垣があります。透かし彫りによる繊細な細工が特徴で、小鳥や花々が描かれた美しい装飾を見ることができます。この玉垣を越えると、煌びやかな御社殿が姿を現します。別世界へと足を踏み入れたような感覚になることができます。

久能山東照宮 御社殿

御社殿のある場所は、広大ではなく、その限られた空間に豪華絢爛な建築が詰め込まれています。訪れた時は修復工事が行われていましたが、工事中でも、美しい装飾や建築技術を間近で堪能することができます。コンパクトながらも、細部まで見応えのある空間です。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮の御社殿は、国宝に指定されています。国宝の文字を見ると、あらためてその歴史的価値の高さを実感することができます。静岡市で唯一の国宝建築ということもあり、全国的にも貴重な存在です。訪れた際には、その格式の高さを意識しながら見学することができます。

久能山東照宮 御社殿

御社殿を正面から見ると、その豪華さに圧倒されます。極彩色の装飾が施され、細部まで緻密なデザインが特徴的です。正面の柱や扉には、繊細な彫刻が彫られており、職人の技術の高さを感じることができます。どの角度から見ても美しく、見飽きることがありません。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮の御社殿は、色彩の配置が見事です。手前には極彩色や金色が施され、華やかさを強調しています。一方で、奥へ進むにつれて黒漆の部分が増え、落ち着いた雰囲気へと変化していきます。この配色のコントラストが、奥行き感や立体感を巧みに演出しています。建築の計算された美しさがあり、視覚的な工夫が凝らされた空間です。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮の御社殿は、細部に至るまで洗練された意匠が施されています。複雑な構造を持ちながらも、見事に調和の取れたデザインが特徴です。蟇股(かえるまた)には花鳥の透彫が施され、軒廻りには黒漆、縁廻りには赤漆が使われています。彫刻や金具が要所に配置され、建築全体が荘厳な雰囲気を持つことができます。江戸幕府創設期の優れた技術が凝縮された建造物です。

久能山東照宮 御社殿

極彩色の細部までこだわり抜かれた装飾の彫刻、煌びやかな錺金具、繊細な透かし彫りなど、どこを見ても目を奪われる美しさがあります。特に、蟇股や欄間の装飾は圧巻で、ため息が出るほどの見事な仕上がりです。一つ一つの意匠に込められた職人の技術とこだわりを、じっくりと堪能することができます。

久能山東照宮 授与所

御社殿の横には、授与所があります。多彩な御守や御札を受けることができます。特に、家康公にちなんだ「勝守」や、出世運にご利益があるとされるお守りが人気です。参拝の記念になるので、ぜひ立ち寄ってみたい場所の一つです。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮の御社殿は、正面だけでなく側面にも見どころが多くあります。本殿と拝殿をつなぐ「石の間」を持つ権現造の形式を採用し、複雑な構成の立面や軒廻りが巧みにまとめられています。側面から見ると、黒漆塗の軸部と赤漆塗の縁廻りが美しく際立ち、荘厳な雰囲気をより一層引き立てています。細部の装飾にも職人の技が詰め込まれ、どこから見てもその美しさを堪能することができます。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮には、通常とは異なる「逆さ葵」の紋が施されています。これは、徳川家の家紋である三つ葉葵を意図的に逆向きにしたものです。一説には、大工が誤って逆さに取り付けてしまったが、そのままにしたとも、または魔除けや特別な意味を込めて意図的に配置されたともいわれています。こうした細かな意匠にも、歴史や伝承が秘められていることを感じることができます。

久能山東照宮 御社殿

丁寧に一つずつ紋を探していったところ、ついに逆さ葵を見つけることができました。どこにあるのかを意識して探すことで、新たな発見があるのも楽しみの一つです。装飾の一部として溶け込んでいるため、見落としがちですが、注意深く見ると気づくことができます。

久能山東照宮 御社殿

本殿の後方西側にある廟門を抜けると、廟所へと続く参道が現れます。この門には金地に描かれた鳳凰と牡丹の絵が施され、格式の高さを感じることができます。さらに進むと、御社殿を見下ろせる高台に出ることができます。ここからは御社殿の全景を一望でき、その壮麗な造りを改めて実感することができます。

久能山東照宮 御社殿

御社殿は、本殿と拝殿を「石の間」と呼ばれる空間でつないだ権現造の形式をとっています。通常は正面から見ることが多いですが、高い位置から眺めると、この構造の特徴がよりはっきりとわかり、建築の巧みな構成に気づくことができます。違う角度からの視点で、改めてその意匠の美しさを堪能することができます。

久能山東照宮 御社殿

久能山東照宮 御社殿は、歴史的価値と芸術性を兼ね備えた建築です。細部まで美しい装飾が施されており、見どころが多くあります。国宝に指定されたことで、その価値がさらに認識されるようになりました。静岡市唯一の国宝として、訪れる価値のある場所です。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。