スズキ歴史館 2F 現在のクルマづくりは、静岡県浜松市中央区増楽町にある博物館です。

スズキ歴史館は、スズキの歴史や技術を紹介する施設です。1909年の創業から現在に至るまでの製品が展示され、二輪車や四輪車、船外機などの開発の歩みを知ることができます。館内では、スズキの「ものづくり」へのこだわりや、車が完成するまでの過程を見学することができます。創業当時の織機や、歴代の車両も展示されており、スズキの進化を実感することができます。ものづくりの過程を学びたい方におすすめです。

2階では、クルマづくりのプロセスが紹介されています。まずは、開発の出発点となる企画会議の様子です。大きなテーブルが置かれ、どのようなコンセプトで車両を設計するのかが話し合われます。スケッチを描くデザインルームや、デザインの決定プロセスを映像とともに展示しているので、企画から設計へと進む流れを体験することができます。

次の展示では、クレイモデルの制作工程が紹介されています。クレイモデルとは、粘土を使って実寸大の車両の形を作るものです。展示されているのは実際の1分の1スケールのモデルで、その大きさには圧倒されます。デザインの検討段階で、このモデルを削ったり盛ったりしながら細かな調整が行われます。完成形に近づくまでの過程がよく分かる展示です。

デザインが固まると、次はロゴ、化粧パネル、インテリアカラー、ボディーカラーの決定へと進みます。ここでは、バランスの取れたトータルコーディネートが求められます。細かい部分までこだわり抜かれることで、統一感のある仕上がりになります。展示では、それぞれのパーツがどのように選ばれ、組み合わされるのかが紹介されており、クルマのデザインの奥深さを感じることができます。

実際の車両に搭載されている最新技術の展示もあります。例えば、ワゴンRに採用されているヘッドアップディスプレイが設置されており、どのように視認性を向上させているのかを体験できます。また、燃料電池とリチウムイオン電池を組み合わせたBURGMAN Fuel Cell(バーグマン フューエルセル)スクーターの説明パネルもあり、環境に配慮した技術が紹介されています。

ジムニーシエラのカットモデルの展示も見どころの一つです。実車と同じサイズで、車両の内部が半分に切られた状態で展示されています。普段は見られないエンジンやシャーシの構造を間近で確認できるので、クルマの仕組みをより深く理解することができます。オフロード向けのタフな設計がどのようになっているのか、興味を引く内容です。

クルマの性能テストの一環として、低μ(ミュー)路の特殊路面が展示されています。これは、雨などで濡れた滑りやすい路面を再現したものです。急ブレーキ時の挙動を試験するために使用されるもので、安全性能を確保するための技術がどのように開発されているのかを知ることができます。実際の路面を間近で見ることで、テストの重要性が伝わってきます。

FACTORY ADVENTUREでは、クルマの生産工程を3D映像で体験することができます。専用のメガネをかけると、目の前で溶接機やプレス機が動く様子が立体的に映し出されます。さらに、上映中にはいすが振動したり、霧が噴射されたりと、まるでアトラクションのような演出が施されています。工場の迫力ある雰囲気を体感できる、臨場感あふれる展示です。
「生産」のコーナーでは、ロボットアームを操作できる体験型展示があります。まるで本物の工場で作業しているような感覚になり、大人も子どもも楽しむことができます。操作は簡単なので、誰でも気軽に挑戦できます

このロボットアームは、ボタンを2回押すだけで操作でき、「ドア」を取る場所と置く場所を選び、スタートボタンを押すことでロボットが自動で作業を始めます。
ロボットアームが滑らかに動作し、「ドア」を正確に移動させる様子を見ることができます。工場の生産ラインに欠かせないロボット技術を間近で体験できるため、興味を持つビジターが多くいます。実際の工場では、こうしたロボットが効率的に稼働し、自動車の生産を支えています。ロボットの精密な動きは見ているだけでも楽しめる展示です。

ロボットアームの展示の先には、まるで実際の工場にいるかのような組立ラインの再現があります。車のパーツが次々と流れていく様子や、組立の流れを学べる展示になっており、臨場感があります。これまで映像で見てきた「生産」の過程が目の前で再現されているので、工場見学さながらの体験ができます。

スズキは自動車だけでなく、さまざまな分野で技術を活かしています。その一例として、フライトシミュレーターの展示もあります。現在は調整中でしたが、今後の稼働が期待されるコーナーです。スズキの技術力がどのように広がっているのかを知ることができる興味深い展示となっています。

スズキ本社がある浜松市周辺は「遠州地方」と呼ばれ、この地域の文化や産業を紹介するコーナーもあります。床一面に広がる航空写真や、遠州出身の「ものづくりの偉人」を紹介するパネルがあり、地域の歴史を知ることができます。さらに、毎年5月に行われる「浜松まつり」のジオラマや、航空自衛隊浜松基地の紹介もあり、浜松の魅力を多角的に学べる内容になっています。

スズキ歴史館では、自動車の「開発」から「生産」までの流れを実際の工場のような展示で体験できます。3Dシアターやロボットアームの操作体験など、見て、触れて、学べる工夫が満載です。さらに、浜松や遠州地方の歴史や文化にも触れることができ、技術だけでなく地域の魅力も感じられる施設となっています。
3階にも展示室があるので、行ってみたいと思います。
それでは、また。