一品一品に丁寧さと工夫が感じられる老舗 喜多八

喜多八は、山梨県山梨市上神内川にある中華料理店です。

喜多八

山梨市駅から徒歩5分ほど、万力公園に向かう途中にある「喜多八」は、60年間続く老舗です。営養薬膳師の資格を持つ店主が、体に優しい手作り料理で出迎えてくれます。看板メニューは三代受け継がれてきた「もつ煮込み」。中華の定食から山梨名物まで幅広く提供しており、日常の中にある特別なひとときを感じることができます。

喜多八

店舗に入ると通路が伸びています。扉を開けると、清潔感のある店内が広がり、温かみのある空間が迎えてくれます。外観の印象からは想像できない奥行きがあり、ふとした隠れ家のような雰囲気もあります。落ち着いた照明で、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

喜多八

店内はテーブル席が中心で、4人掛けや6人掛けのテーブルがいくつも並んでいます。2階には大宴会場もあり、グループでも少人数でも入りやすい造りです。窓が大きいので、店内は自然光が差し込み、昼間は明るく開放的な雰囲気です。

喜多八

窓際の席に座ると、すぐ横を流れる笛吹川を眺めることができます。季節によって水量や光の加減が変わるため、いつ訪れても違った表情を楽しむことができます。川音もほんのり聞こえ、食事中の会話を邪魔しない程度の心地よいBGMになっています。

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テーブルには手書きのメニュー表が置かれており、ランチタイムにはお得な日替わり定食も注文できます。その日の仕入れや店主の気まぐれで内容が変わるのも楽しみのひとつです。メニューには一品料理も多数あり、少しずつ選んで食べることもできます。

喜多八

定番の「もつ煮定食」をはじめ、スタミナ系の「豚肉とニンニクの茎炒め定食」や、辛さがクセになる「担々麺定食」などバリエーションが豊富です。ボリュームも十分で、男性客からも女性客からも支持されています。どの定食も手作りの味が感じられます。

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地元山梨らしく、猪肉や鹿肉を使った「ほうとう」も提供しています。具材は季節によって変わることもあり、しっかり煮込まれた汁は深みのある味わいです。地元食材にこだわっていて、観光目的で立ち寄った人にもおすすめしたい内容になっています。

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今回は三崎港から直送されたマグロのお刺身定食を選びました。数量限定とのことですが、運良く注文することができました。新鮮な魚の香りが広がり、まずは見た目から楽しむことができます。主役にふさわしい品です。

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定食にはミニもつ煮を追加で付けることができます。今回はもちろん注文しました。柔らかく煮込まれたもつは臭みがなく、ほんのりと味噌の甘みと深みが感じられます。これだけを目当てに来店してもいいと思える仕上がりです。

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マグロのお刺身は分厚くカットされていて、皿の上に何枚も盛り付けられていました。切り身のひとつひとつが大きく、しっかりと食感があり、鮮度の高さがよく分かります。醤油をほんの少し付けるだけで、素材の良さが際立ちます。

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定食の付け合わせには、きゅうりとコーンをベースにしたサラダが添えられています。シャキシャキとしたきゅうりの食感と、ほんのり甘みのあるコーンがよく合い、どんなおかずにも合わせやすい一品です。ドレッシングはまろやかさと酸味のバランスが絶妙です。野菜の味を引き立てるような優しい味付けで、さりげなく食事全体を支えてくれます。

喜多八

ライスはつやがあり、一粒一粒がしっかりと立っています。適度なかたさに炊き上げられており、おかずとの相性が抜群です。お皿ではなく茶碗で提供されるスタイルで、和の雰囲気も感じることができます。しっかりと盛られているので、おかずが進むと自然とご飯もすすみ、最後まで満足感があります。

喜多八

おしんこは、小皿にほどよく盛られていて、食事の途中に味のアクセントとして楽しむことができます。カリッとした歯ごたえと、程よい塩味があり、白いご飯との相性もばっちりです。メインのおかずが濃い味のときには、このおしんこが口の中をリセットしてくれる役割も果たしてくれます。

喜多八

定食には、あっさりとした中華スープも必ず付いています。透明感のあるスープで、やさしい味付けが印象的です。油分は控えめで、食事の最後まで軽やかに飲むことができます。全体の構成を引き締めてくれる、地味ながら頼れる一杯です。

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続いて、豚肩ロースの焼肉の定食を注文しました。焼きたての豚肩ロースは、大皿いっぱいに盛られていて、その量にまず驚かされます。添えられたサラダが見えないほど肉が敷き詰められており、見た目からも満足感が伝わってきます。

喜多八

味付けは、生姜焼きを思わせる甘めのタレが特徴です。ただし、生姜の主張は控えめで、どこか家庭的な優しい味わいです。肉質は柔らかく、タレがしっかりと絡んでいてご飯との相性も抜群です。食べ進めるうちに、ほっとする気持ちになります。

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麻婆豆腐はオプションで追加することができ、今回はそれを注文しました。一口目からピリッとした辛さが広がり、舌にしびれが残るほどの本格派。豆腐は崩れず、なめらかな舌触りで、辛さの中にも旨味が感じられます。唐辛子と花椒の香りも立ち、食欲を刺激します。

喜多八

定食にはライスが付いてくるため、これだけでも十分定食として成立しますが、麻婆豆腐とも相性が抜群です。辛い料理には欠かせない存在で、ライスがあることで、辛さもほどよく中和されます。ちょうどよい量で、満足感が高い組み合わせです。

喜多八

こちらのセットにもおしんこが添えられており、ライスとともに楽しむことができます。辛味が強い麻婆豆腐の合間に食べることで、味覚のリズムが生まれます。おしんこの味が単調にならず、全体のバランスを整える一品として活躍します。

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中華スープも同じように付いてきます。構成は変わらず、あっさり味。辛い麻婆豆腐のあとに飲むと、舌の辛さをすっと和らげてくれます。辛さと優しさのバランスがここでも感じられます。

喜多八

食後は、コーヒーをいただきました。香ばしい香りとほろ苦さが、食後の満腹感にちょうど良い落ち着きを与えてくれます。店内にゆったりした空気が流れており、食後も急がず、ゆっくりとした時間を楽しむことができます。

喜多八

喜多八は、手間暇かけた手作りの料理が並ぶ、60年の歴史を感じる定食屋。薬膳の知識を活かした献立が、心と体をゆるやかに整えてくれます。地元の人々の定番にもなる理由がよく分かります。

喜多八

喜多八は、一品一品に丁寧さと工夫が感じられる、老舗ならではの安心感がありました。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。