久能山東照宮は、静岡県静岡市駿河区根古屋にある神社です。

拝殿正面に構える唐門は、重要文化財に指定されている門です。屋根は銅瓦本葺黒漆塗で、四方唐破風造となっています。細部には見事な装飾が施され、羽目板には唐獅子牡丹や黒松に鳥の透彫が見られます。その華やかさと格式の高さが感じられる門です。

唐門は、御社殿へと続く入口に位置しています。拝殿の正面に建てられており、門を通した先に御社殿が控えています。門越しに見える御社殿の姿は、さらに荘厳な雰囲気を引き立てます。造形美が際立ち、歴史的な建築としての価値も感じられます。

唐門は格式の高い門であるため、直接通行することはできません。そのため、右回りに迂回して進む形となります。迂回することで、異なる角度から門や御社殿の美しさを堪能することができます。

唐門の特徴的な意匠のひとつが、銅瓦本葺黒漆塗の四方唐破風造です。屋根の曲線が美しく、漆塗りの仕上げと金具の装飾が荘厳な雰囲気を演出しています。唐破風の下には、細かな彫刻が施され、華やかでありながらも、格式の高さを感じさせるデザインとなっています。

御社殿の内側から唐門を通して境内を望むと、その景色はまるで一枚の絵画のように映ります。黒漆塗の四方唐破風造の門が枠となり、その装飾の細やかさが風景をより引き立てます。唐獅子牡丹や黒松に鳥の透彫が施された羽目板が、重厚な雰囲気を醸し出し、歴史的な趣を感じさせる光景が広がります。

久能山東照宮は、徳川家康公を祀る霊廟として1617年に創建されました。現在の御社殿は、全国の東照宮の原型となった「権現造」の様式で造られています。江戸幕府大工棟梁・中井大和守正清が手掛け、漆塗や極彩色の装飾、緻密な彫刻が施された美しい社殿です。2010年には国宝に指定され、静岡市内で唯一の国宝建造物となりました。歴史と芸術が融合した貴重な建築を堪能することができます。

久能山東照宮の御社殿へ向かう入り口は、東側の日枝神社の横にあります。御社殿の正面には唐門がありますが、そこから直接入ることはできません。順路に沿って、神楽殿、神庫、竈神社、日枝神社を経由して御社殿へ向かいます。

御社殿の周囲には、106枚の彫刻が施された玉垣があります。透かし彫りによる繊細な細工が特徴で、小鳥や花々が描かれた美しい装飾を見ることができます。この玉垣を越えると、煌びやかな御社殿が姿を現します。別世界へと足を踏み入れたような感覚になることができます。
御社殿のある場所は、広大ではなく、その限られた空間に豪華絢爛な建築が詰め込まれています。訪れた時は修復工事が行われていましたが、工事中でも、美しい装飾や建築技術を間近で堪能することができます。コンパクトながらも、細部まで見応えのある空間です。

久能山東照宮の御社殿は、国宝に指定されています。国宝の文字を見ると、あらためてその歴史的価値の高さを実感することができます。静岡市で唯一の国宝建築ということもあり、全国的にも貴重な存在です。訪れた際には、その格式の高さを意識しながら見学することができます。

御社殿を正面から見ると、その豪華さに圧倒されます。極彩色の装飾が施され、細部まで緻密なデザインが特徴的です。正面の柱や扉には、繊細な彫刻が彫られており、職人の技術の高さを感じることができます。どの角度から見ても美しく、見飽きることがありません。

久能山東照宮の御社殿は、色彩の配置が見事です。手前には極彩色や金色が施され、華やかさを強調しています。一方で、奥へ進むにつれて黒漆の部分が増え、落ち着いた雰囲気へと変化していきます。この配色のコントラストが、奥行き感や立体感を巧みに演出しています。建築の計算された美しさがあり、視覚的な工夫が凝らされた空間です。

久能山東照宮の御社殿は、細部に至るまで洗練された意匠が施されています。複雑な構造を持ちながらも、見事に調和の取れたデザインが特徴です。蟇股(かえるまた)には花鳥の透彫が施され、軒廻りには黒漆、縁廻りには赤漆が使われています。彫刻や金具が要所に配置され、建築全体が荘厳な雰囲気を持つことができます。江戸幕府創設期の優れた技術が凝縮された建造物です。
極彩色の細部までこだわり抜かれた装飾の彫刻、煌びやかな錺金具、繊細な透かし彫りなど、どこを見ても目を奪われる美しさがあります。特に、蟇股や欄間の装飾は圧巻で、ため息が出るほどの見事な仕上がりです。一つ一つの意匠に込められた職人の技術とこだわりを、じっくりと堪能することができます。

御社殿の横には、授与所があります。多彩な御守や御札を受けることができます。特に、家康公にちなんだ「勝守」や、出世運にご利益があるとされるお守りが人気です。参拝の記念になるので、ぜひ立ち寄ってみたい場所の一つです。

久能山東照宮の御社殿は、正面だけでなく側面にも見どころが多くあります。本殿と拝殿をつなぐ「石の間」を持つ権現造の形式を採用し、複雑な構成の立面や軒廻りが巧みにまとめられています。側面から見ると、黒漆塗の軸部と赤漆塗の縁廻りが美しく際立ち、荘厳な雰囲気をより一層引き立てています。細部の装飾にも職人の技が詰め込まれ、どこから見てもその美しさを堪能することができます。

久能山東照宮には、通常とは異なる「逆さ葵」の紋が施されています。これは、徳川家の家紋である三つ葉葵を意図的に逆向きにしたものです。一説には、大工が誤って逆さに取り付けてしまったが、そのままにしたとも、または魔除けや特別な意味を込めて意図的に配置されたともいわれています。こうした細かな意匠にも、歴史や伝承が秘められていることを感じることができます。

丁寧に一つずつ紋を探していったところ、ついに逆さ葵を見つけることができました。どこにあるのかを意識して探すことで、新たな発見があるのも楽しみの一つです。装飾の一部として溶け込んでいるため、見落としがちですが、注意深く見ると気づくことができます。
本殿の後方西側にある廟門を抜けると、廟所へと続く参道が現れます。この門には金地に描かれた鳳凰と牡丹の絵が施され、格式の高さを感じることができます。さらに進むと、御社殿を見下ろせる高台に出ることができます。ここからは御社殿の全景を一望でき、その壮麗な造りを改めて実感することができます。

御社殿は、本殿と拝殿を「石の間」と呼ばれる空間でつないだ権現造の形式をとっています。通常は正面から見ることが多いですが、高い位置から眺めると、この構造の特徴がよりはっきりとわかり、建築の巧みな構成に気づくことができます。違う角度からの視点で、改めてその意匠の美しさを堪能することができます。

久能山東照宮 御社殿は、歴史的価値と芸術性を兼ね備えた建築です。細部まで美しい装飾が施されており、見どころが多くあります。国宝に指定されたことで、その価値がさらに認識されるようになりました。静岡市唯一の国宝として、訪れる価値のある場所です。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。