葛飾区郷土と天文の博物館 天文展示室は、東京都葛飾区白鳥にある博物館です。

葛飾区郷土と天文の博物館は、地域の歴史と宇宙の神秘を一度に体験できるユニークな施設です。1992年に開館し、郷土博物館と天文博物館が融合したスタイルは全国的にも珍しく、幅広い世代に知的好奇心をくすぐる場となっています。常設展示では、葛飾の自然や暮らし、文化の変遷をじっくりと学ぶことができ、地域の歩みを肌で感じることができます。

エントランスを入ってすぐ目に入るのが、巨大な飾り熊手です。長さ3.2メートル、幅2メートルもあり、その大きさに圧倒されます。これは葛飾区在住の清田敏雄さんが手掛けたもので、酉の市で販売される熊手の中でも最大級のものになります。

リファレンスルームでは、葛飾の郷土史や天文学に関する書籍を自由に閲覧することができます。専門的な資料から子ども向けの読み物まで幅広く揃っており、調べものをしたいときにはとても便利な空間です。博物館所蔵の貴重な資料も閲覧することができます。

ミュージアムショップには、博物館ならではのオリジナルグッズが並びます。宇宙に関する文房具や、葛飾ゆかりのグッズも購入することができます。ちょっとしたお土産選びにもぴったりの場所です。展示を見た後に立ち寄ってみるのもおすすめです。

特別企画展示室では、期間限定で葛飾にちなんだテーマの企画展が開催されています。今回は、地域に伝わる神社の歴史をテーマにした展示でした。神社の由緒や行事に関する貴重な資料が並び、地域の信仰の深さにふれることができます。

展示室には、葛飾区内に点在する神社の歴史や由緒を伝える資料が並んでいます。古い白黒の写真を通して、当時の社殿や祭りの様子をうかがい知ることができます。それぞれの神社が持つ特色も紹介されており、じっくり見てまわると地域ごとの信仰のちがいも感じ取ることができます。

2階から3階へと続く階段の壁には、鮮やかなステンドグラスがあります。朝の光が差し込む時間帯には、色とりどりの光が階段を包み込みます。特に開館直後の朝9時に訪れると、もっとも美しい光景を見ることができます。

フーコーの振り子は、地球が自転していることを示す装置です。真鍮製の球が長いワイヤーで吊るされ、周囲に並べられたピンにぶつかることで、振動面がゆっくり回転しているのが視覚的にわかります。
この振り子は一見、同じ方向に揺れているように見えますが、実は地球の自転により少しずつ角度が変化しています。一定時間ごとにピンが一本ずつ倒れていき、その瞬間を今か今かと待つ楽しさがあります。静かな迫力を感じます。

3階のホールでは、向かい側の壁を観察できる小型望遠鏡が4台設置されています。望遠鏡ごとに覗き穴の位置や映り方に違いがあり、それぞれの構造を比較しながら観察することができます。実際に目で確かめながら学べるのが楽しいポイントです。

天文展示室では、宇宙にまつわる基礎知識から最先端の観測まで、多角的に学ぶことができます。映像やパネル展示を通じて、毎回新しい発見があり、何度訪れても楽しむことができます。宇宙をより身近に感じられる空間です。

展示室に入ってまず目に入るのが、デンマークの天文学者ティコ・ブラーエが使用していた「大アーミラリー」のレプリカです。望遠鏡がまだなかった時代に星の位置を正確に測定するための器具で、分度器のような目盛りが特徴です。

宇宙をさぐるのコーナーでは、赤外線やX線など多様な波長で観測した天体の姿を映像やパネルで紹介しています。宇宙を見上げてみようのコーナーでは、月の満ち欠けや星座の動きなどを映像で解説しており、夜空を見つめ直すきっかけになります。

展示の一角では、赤と青の3Dグラスを使って立体的に月面を観察することができます。クレーターやでこぼこした地形が浮かび上がり、まるで月の表面を間近で見ているかのような感覚を味わうことができます。

季節ごとに変わる太陽の昇る位置や、高さの違いについても展示で紹介されています。地球が傾いた軸で太陽の周りを回っていることによるこの現象を、映像で視覚的に理解することができます。春分・秋分、夏至・冬至の違いも学べます。

館内には本格的なプラネタリウムがあり、日替わりでさまざまな番組が上映されています。エントランス近くの看板には、上映スケジュールと内容が案内されており、今日はスタッフおすすめの番組が3回予定されています。同じ番組が連続で上映されるのには理由がありました。

プラネタリウムの入り口には重厚な扉があり、光を完全に遮った静かな空間が広がります。中に入ると、まるで映画館のような雰囲気で、椅子に座ってゆっくりと星空を楽しむ準備が整います。上映前のわくわく感が心地よい時間です。

ドーム型の天井の中心には、大きなプラネタリウムプロジェクターが鎮座しています。この機械が星々を正確に映し出し、まるで本物の夜空を見上げているような体験ができます。ドーム全体がスクリーンになっており、頭上を流れる星に見入ってしまいます。

後から知ったのですが、2024年10月1日から2025年3月31日まで、施設全体が改修工事のため休館となるそうです。そのためか、館内は多くの人で賑わい、プラネタリウムも満席に近い状態でした。

訪れた2024年9月29日は、葛飾区郷土と天文の博物館の改修前の最終開館日でした。この日は特別に、スタッフおすすめの番組が連続で上映されており、館内には独特の高揚感が漂っていました。何回も観たくなるような内容ばかりで、充実したひとときとなりました。

プラネタリウムでの解説は、まるでラジオを聴いているかのような、滑らかで耳に心地よい語り口でした。星の名前や動きの話が自然に心に入ってきて、時間を忘れて引き込まれてしまいました。あの解説の声が、今でも耳に残っています。

葛飾区郷土と天文の博物館は、地元の歴史と宇宙の不思議を同時に感じることができる貴重な場所です。フーコーの振り子に始まり、神社の展示や天文展示室、プラネタリウムまで、どこも見応えがありました。改修前の特別な一日ということもあり、館内の熱気と展示の深さが強く印象に残りました。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。