江戸時代の美意識が色濃く残る庭園 鹿野山 神野寺 庭園

鹿野山 神野寺 庭園は、千葉県君津市鹿野山にある庭園です。

鹿野山 神野寺 庭園 (2022/12/01)

鹿野山 神野寺は、日本で4番目に開かれた関東最古の名刹(古寺)で、関東三大修験道(鹿野山、筑波山、榛名山)の一山です。庭園は本堂の裏手にあります。庭園は江戸時代に築庭された庭園で、千代田城の庭園を模して造られ、江戸時代の庭園の美意識が色濃く残っています。庭園内には、どうだんつつじやさつきなどの花が植えられていて、季節ごとに異なる美しい花々が庭園を彩ります。

鹿野山 神野寺 弁財天 (2022/12/01)

散策していると弁財天がありました。庭園の中にある弁財天は、どこか神秘的な雰囲気を感じます。庭園の中央には全国的にみても珍しい、歯の塚の「お歯塚」もありあす。

鹿野山 神野寺 奥の院 (2022/12/01)

奥の院には本尊として白狐に乗った烏天狗が安置されていますが、この天狗様は秘仏のため、普段は拝み見ることはできないそうです。年に一度、10月9日10時から特別開扉され、天狗様の大下駄などに触れることで足腰のご守護並びに健康を祈念することができます。

鹿野山 神野寺 庭園 (2024/11/05)

庭園を歩いていると、中央に大きな池があることに気づきます。秋から冬へと移ろう季節の中、周囲の景観は灰色がかり、木々も葉を落として寂しげな印象を与えます。そんな中でも池の中をよく見ると、赤やオレンジの鯉たちがゆったりと泳いでおり、鮮やかな彩りが目に飛び込んできます。周囲の静かな風景との対照が美しく、まるで池の中だけが季節を忘れているかのようです。

鹿野山 神野寺 庭園 (2022/12/01)

冷え込みの厳しい冬の日、水面は凍ってはいないものの、見ているだけで冷たさが伝わってくるような澄んだ空気に包まれていました。そんな中でも、池の中では色鮮やかな鯉たちが悠然と泳ぎ、静かな景色に生命の息吹を感じさせてくれます。日本の自然と伝統文化が調和したこの庭園は、冬ならではの趣深い表情を見せ、訪れた人の心を静かに癒してくれます。

鹿野山 神野寺 庭園 (2024/11/05)

庭園内では、鯉のエサを販売しています。趣のあるエサの箱に100円を投入し、簡単に購入することができます。箱の佇まいも庭園の雰囲気に溶け込んでおり、ただのエサの販売箱では感じられない温かみがあります。庭園の自然とともに、こうした細かな心配りに触れることができるのも楽しみの一つです。

鹿野山 神野寺 庭園 (2024/11/05)

エサは袋に入っており、こぶし大ほどの大きさで丸く、見た目にもどこか素朴な印象を受けます。内容量は多めで、一袋でたっぷりと与えることができます。少しずつまきながら、鯉たちの反応をじっくり楽しむことができるので、時間をかけて観察するのにも向いています。

鹿野山 神野寺 庭園 (2024/11/05)

エサを手に持って池に近づくと、鯉たちはすぐにその気配を感じ取り、期待するように集まってきます。まるで人間の行動を理解しているかのように水面に顔を出す様子は、どこか不思議で、心に残る瞬間です。池の静寂と生き物の動きが調和した、美しい場面です。

鹿野山 神野寺 庭園 (2024/11/05)

エサをまいた瞬間、鯉たちは一斉に水面に飛びつきます。ほんの10秒足らずで全てのエサがなくなってしまいました。お腹が減っていたのか、それともこのひとときを待ち望んでいたのか、そんなことを考えながら見つめる時間はとても貴重です。

鹿野山 神野寺 庭園 (2024/11/05)

鯉の存在は、庭園の「静」に「動」を与える存在だと感じます。穏やかな景観の中で、鯉たちが動くことで命の気配が広がります。その意味を理解できた瞬間、庭園全体の印象が一段と深まります。池をのぞくことで、自然と人の関係にも触れることができます。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。

  • 2022/12/01 初版
  • 2024/11/05 更新