越谷市花田苑・花田第六公園 回遊式池泉庭園は、埼玉県越谷市花田にある庭園です。
越谷市にある花田苑は、池泉回遊式の日本庭園として平成に開園した比較的新しい施設です。園内には約14,000本もの樹木が配され、四季を通して自然の美しさを感じることができます。瓢箪の形をした池を中心に、庭園全体が緩やかに広がり、歴史ある大名庭園の様式を現代に再現しています。開花亭で開催される茶会なども含め、和の空間に浸ることができます。
長屋門は、花田苑のエントランスとして重厚な佇まいを見せています。ここで入場の手続きを済ませ、門をくぐると、ゆるやかな園路が庭園の奥へと続いています。日常の喧騒から離れ、静かな庭の世界へと自然に足が向かっていくような導線が印象的です。門を抜けた瞬間から空気が変わる感覚を味わうことができます。
庭園の中央には、瓢箪型の大きな池が広がり、周囲を巡るように遊歩道が整備されています。この池泉庭園は「兼六園」や「後楽園」などの歴史的庭園の意匠を参考にしており、太鼓橋や船着場、斜面の園路など、古風な美を現代に再現しています。庭園内を歩くと、視点が変わるごとに風景も変化し、まさに回遊式の醍醐味を体感することができます。
池の水面をじっと見ていると、ふと波紋が広がる瞬間があります。そこには色とりどりの鯉が泳いでおり、水中から顔を出してきたり、水面近くをゆったりと漂ったりしています。風や木漏れ日とともに、池の様子に微細な変化が加わり、静かな中にも動きのある景色が続いています。橋の上から鯉の姿を眺めるのも楽しいひとときです。
一般の公園の池では、鯉に餌をあげることができる場所があります。しかし、花田苑の池には赤い立札が設置されており、餌やりは禁止とされていました。静かに整えられた庭園の景観を守るためのルールであり、鯉も自然のままに過ごしています。
花田苑を歩いていると、池のほとりに茶室への案内板が設置されているのが目に入ります。木製の落ち着いた色合いの案内板には「開花亭」の文字が書かれています。周囲の景観に馴染むように設置されており、庭園の雰囲気を壊すことなく案内の役目を果たしています。この案内板に導かれるように進むと、静かに佇む茶室が見えてきます。
この茶室は「開花亭 (かいかてい)」と名付けられ、庭園内の小高い丘の上に位置しています。池に向かって大きく開かれて建てられており、室内からは水面や庭園の風景が一望できます。開花亭のまわりには植栽も丁寧に施されていて、建物との調和が見事です。静かに時間が流れていくような空間が広がっています。
開花亭では、お茶の提供だけでなく、季節に応じた花の展示や琴の演奏会なども行われています。「開花亭茶会」や「やすらぎの茶席」といった催しに参加することができ、日本文化に親しむ機会を得ることができます。参加は気軽にできるようになっており、日常の中で和の体験を楽しめる場所としても活用されています。
越谷市花田苑・花田第六公園 回遊式池泉庭園は、太鼓橋や琴柱灯籠、船着場や笹の園路など、各地の歴史的庭園の美を丁寧に再現しています。兼六園の要素も取り入れた灯籠や、小石川後楽園のような地形的工夫などが見られ、現代に築かれたとは思えない完成度を持っています。散策しながら景色が変わるように設計されていて、歩を進めるごとに新たな発見があります。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。