館山市立博物館 本館 企画展示は、千葉県館山市館山にある博物館です。

館山市立博物館 本館は、安房地方の歴史と民俗を深く掘り下げて展示する博物館です。海を越えた交流を背景にした地域の歴史や、時代ごとの暮らしぶりを知ることができます。館内は二つの展示室に分かれており、それぞれ異なる視点から安房の歴史を見つめています。特別展示室も設けられており、常設展示とあわせて観覧することができます。展示の幅広さと奥深さに触れることができます。

館山市立博物館 本館は、二階建ての建物で、外観は落ち着いたタイル造りとなっています。館内に入ると天井が高く、静かな空間が広がっています。光がやわらかく差し込み、歴史を辿る展示の場として、ゆったりとした雰囲気を感じることができます。

本館にはコインロッカーが備え付けられており、荷物を気にせず展示をじっくりと見ることができます。旅行中に立ち寄る際や、荷物が多い時にも安心して見学することができます。また、受付では館内の案内図なども丁寧に配布されており、はじめての来館でもスムーズに見て回ることができます。

館内には清潔感のある休憩室が用意されており、展示の合間にひと息つくことができます。展示に集中して歩き回ったあとで、座って展示内容を振り返る時間が持てるのは嬉しいポイントです。窓からの光も穏やかで、資料に目を通しながら静かに過ごすことができます。

特別展示室は中央にベンチが置かれ、周囲に資料や解説パネルが配置されています。ベンチに座って全体を見渡しながら、一つ一つの展示をじっくりと眺めることができます。展示室内は落ち着いた照明で、資料が見やすく配置されています。

今回の訪問では、「関東大震災と館山」と題された特別展示が行われていました。地震による地形変化や、当時の地域の写真、被害状況を記録した文書などが並び、館山を含む安房地域の実情を丁寧に紹介していました。100年という時間の重みを、資料の一つ一つから感じ取ることができます。

2023年は関東大震災から100年という節目の年でした。千葉県でもっとも大きな被害を受けた安房地域では、死者1,206人、負傷者2,954人、全半壊などの被害が13,726戸にも及びました。展示では、北条町・那古町などで90%以上の家屋が倒壊した状況、津波や火災による被害、そして大きく変わった地形の変化まで、数多くの貴重な写真によって詳しく紹介されています。

展示の中でも目を引くのが、「関東震災全地域鳥瞰図絵」です。この絵は、大正13年9月15日に大阪朝日新聞によって発行され、関東大震災で被災した広範な地域の様子を鳥瞰図として描いています。千葉県では、東京湾沿岸に火の手が上がる様子が生々しく表現されており、震災当時の状況を視覚的に理解することができます。今では貴重な震災資料のひとつとして展示されています。

別の展示室では、安房神社の文化財に関するパネル展示もあわせて観覧することができます。長い歴史を持つ安房神社は、地域の信仰とともに数多くの文化財を守り続けています。神社に伝わる資料や祭礼に関する記録などが、丁寧な解説パネルと共に並び、地域の文化的な背景を知ることができます。

博物館の奥には、雰囲気ががらりと変わる煌びやかな展示室があります。歴史資料とは対照的に、美しく演出された空間が広がり、来館者の目を引きます。ここはまさに、光と色彩の舞台といえる場所です。淡い照明に照らされた展示は、静寂と華やかさが同居する独特の世界を生み出しています。歴史展示とはまた異なる、芸術の空気を感じることができます。

この部屋は「岩崎巴人記念室」と題され、水墨画家・岩崎巴人画伯の花をテーマにした作品が展示されています。晩年を館山で過ごした画伯が描いた花々は、静けさの中に力強さを宿し、訪れる者の心に語りかけてくるようです。展示空間そのものが作品の一部として設計されており、絵画と空間が調和した贅沢な時間を過ごすことができます。

展示室には黄金色に輝き、鮮やかな花々を描いた屏風の作品が並びます。屏風の金と絵の彩りが共鳴するように光を放ち、空間全体がひとつの作品として完成しています。花の題材はどれも身近でありながら、筆致は繊細で奥深いものとなっており、画伯の感性が直に伝わってくる構成となっています。

床は漆黒に仕上げられており、その中に置かれた作品や屏風が一層鮮やかに浮かび上がるような演出がされています。展示室の静謐な雰囲気と、この色彩のコントラストが見事に調和し、まるで絵の中にいるような感覚になります。視覚だけでなく、空間そのものを感じ取れる展示です。

掛け軸と芸術家・岩崎巴人の説明パネルが展示されています。画家の筆づかいや作品の背景だけでなく、人生の歩みにも触れることができます。空間全体には和の美意識が息づいており、墨の濃淡や構図の妙から、静かに語りかけてくるような空気を感じることができます。これらの作品を通じて、鑑賞者は巴人氏の世界に深く触れることができます。

ミニ展示コーナーでは、「渋沢栄一と館山」に焦点を当てています。NHK大河ドラマで注目された渋沢栄一は、館山市船形にあった東京市養育院安房分院の初代院長としても関わっています。この施設は虚弱児童の保養のために開設されたもので、渋沢栄一は館山をたびたび訪れていました。

館山市立博物館 本館は、特別展示を通して、地震が自然と人の暮らしにどのような影響を与えたのかを学ぶことができます。また、さまざまな展示を通して、館山の歴史や地域文化、生活の変遷を理解することができます。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。