茶ノ木神社は、東京都中央区日本橋人形町にある神社です。

中央区日本橋人形町に鎮座する茶ノ木神社は、倉稲魂大神を主祭神とし、伏見系の稲荷神社として崇敬されています。徳川時代、この地は下総佐倉藩十八万石の大名・堀田家の中屋敷で、社の周囲に植えられた茶の木が神社の名前の由来と伝わっています。火伏せの神としても信仰され、屋敷内だけでなく周辺の町でも火災がなかったといいます。1985年には布袋尊を合祀し、日本橋七福神の一社に加わりました。
茶ノ木神社へ向かう道は、都会のビルに囲まれた一角にあります。クリスマスの装飾が終わった後でも、いくつかの店先やビルにはまだ名残のイルミネーションが瞬いていて、裏路地ながらどこか温かみを感じさせます。

大晦日の深夜、社殿には控えめな明かりが灯り、境内には静けさが漂います。間もなく新年を迎える時刻、ひとつ、またひとつと人影が現れます。社殿に向かい手を合わせる姿が見られ、年越しの静かな祈りが流れていきます。ひっそりとした佇まいの中に、確かな信仰の気配を感じる瞬間です。街のざわめきが遠くなり、神社だけが時を刻んでいるように思えます。

神社はビルに囲まれた一角にあり、境内はそれほど広くありません。しかし、きちんと手入れされた敷石や社殿の木の風合いには年輪を感じます。狭さゆえに圧迫感があるのではなく、逆に包まれるような安心感があります。商業の中心地にあるとは思えないほどの静けさに、自然と背筋が伸びる空気が漂っています。小さくとも、存在感のある神社です。

年が明けると、周囲の通りから自然と人が集まり始めます。皆が特別な派手さはなく、静かに歩を進めてきて、神前で一礼します。お参りを終えたあと、軽く会釈を交わす姿も見られ、どこかあたたかな雰囲気です。地元の人が何気なく立ち寄る場所として、神社は変わらぬ姿でそこに在り続けているようです。新年の始まりにふさわしい空気が流れます。

新大橋通りから少し北西に入った場所に立つ「茶ノ木神社」ののぼり旗が、ひと目でこの場所を示しています。社殿前には布袋尊像があり、日本橋七福神の一社としての役割もしっかりと伝わってきます。大名屋敷の跡地に立ち、長い年月を経て人々の暮らしと共に在り続けた神社。現代のビル街に埋もれることなく、しっかりとその存在感を保ち続けています。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。