言葉と想いが息づく山上のひととき 和泉式部供養塚

和泉式部供養塚は、千葉県館山市那古にある史跡です。

和泉式部供養塚

那古山には、ちょっとしたハイキング気分で登れる遊歩道が整備されており、頂上に近づくと静かな木陰に佇む二基の供養塚が姿を現します。ここに祀られているのは、平安時代中期の女性歌人・和泉式部とその娘である小式部内侍。母娘ともに和歌の才能に秀で、特に恋愛を題材にした情熱的な歌で知られています。

和泉式部供養塚

那古寺の裏山へと続く石段が見を登ると、木々に囲まれた静かな環境があります。石段は整備されており、足元に注意しながら登ることができます。季節ごとに変化する草木や鳥のさえずりを感じながら進むと、心が落ち着いてきます。那古寺の境内とはまた違った、山の空気が味わえる場所です。

和泉式部供養塚

潮音台 展望台の木々がつくる涼やかな陰の中に、ひっそりと石造りの供養塚が建っています。手前が和泉式部、奥が小式部内侍とされており、どちらもシンプルながら風格を感じさせます。二人がこの地で亡くなったという明確な記録はありませんが、地元では母娘の霊を慰める場として供養されてきました。恋や生き方に強い意志を持っていた彼女たちの面影が、今もこの場所に残っているように感じられます。

和泉式部供養塚

和泉式部供養塚の前には、「潮音台 展望台」と名付けられた展望台が広がります。ここからは館山湾を一望することができ、特に晴れた日には青い海と空がつながって見えるほどの絶景です。天候によっては遠くに伊豆大島の姿も確認することができます。供養塚の静けさと展望台からの開放感が対照的で、訪れる人に二つの印象を同時に与えてくれます。

和泉式部供養塚

和泉式部供養塚のそばには、和泉式部が詠んだ和歌が記されたパネルが設置されています。彼女の繊細な言葉と、今見ている風景を重ね合わせることで、詠まれた時代を少しだけ感じることができます。その句を読みながら、自然に包まれているこの空間の中で、改めて言葉の持つ力に気づくことができます。ゆっくりとその場に佇み、句を味わう時間もまた、貴重なひとときです。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。