灯台越しの水平線と時代の記憶 洲埼灯台

洲埼灯台(すのさきとうだい)は、千葉県館山市洲崎にある灯台です。

洲埼灯台

洲埼灯台は、1919年に点灯を開始した、高さ約14.75メートルのコンクリート造の灯台です。日本国内でコンクリート灯台としては初期のものであり、国の登録有形文化財に指定されています。すぐそばに設けられた展望台からは東京湾や太平洋を一望することができます。晴天時には富士山や天城山、大島などの姿も確認することができます。

洲埼灯台

洲埼灯台の入口は装飾のない簡素なつくりで、目立った門構えなどはありません。しかし、敷地前には「洲埼灯台」と書かれた案内看板が設置されており、道沿いからでも確認しやすくなっています。この看板のおかげで、初めて訪れる人でも迷うことは少なく、スムーズに到着することができます。

洲埼灯台

洲埼灯台のエントランスから続く石段は、ごく自然な素材を用いた控えめな構造になっています。歩き出すとすぐに白い灯台が視界に入り、目的地が近いことを実感できます。石段の幅もゆったりとしていて歩きやすく、体力に自信がない人でも無理なく登ることができます。視線を上げるたびに灯台が少しずつ大きくなり、期待感がじわじわと高まっていきます。

洲埼灯台

さらに進むと、少し木々が生い茂った森のようなエリアに差しかかります。木漏れ日の中を歩いていると、灯台の白い姿が徐々に大きくなり、まるで導かれているような感覚になります。風が強まり、潮の香りも漂ってきます。足元には草花が咲き、白亜の灯台と青い空のコントラストが、とても美しく心に残ります。

洲埼灯台

灯台の入り口近くには、洲埼灯台の歴史や仕組みに関する看板が設置されています。大正時代に建てられたこと、コンクリート造の初期型であることなどが、簡潔にまとめられています。看板を読むことでこの灯台の文化的な価値や東京湾の定義なども知ることができます。知識が加わることで、ただの景色ではない奥行きが感じられるようになります。

洲埼灯台

洲埼灯台の敷地にはゲートがありますが、常時開放されており、自由に中へ入ることができます。灯台のすぐそばまで近づくことができ、外観をじっくりと観察することができます。灯台周辺の地面は整備されており、足元も安心です。風を感じながら灯台を間近に眺めることができる、貴重な空間です。

洲埼灯台

灯台の外観はすぐそばで見ることができますが、内部へ入ることはできません。扉は施錠されており、公開はされていません。内部構造を見学することはできませんが、外観だけでも歴史の重みを十分に感じることができます。展望台や看板で補足的な情報を得ることで、より深く理解することができます。外から灯台の造形美を楽しむという訪問の仕方になります。

洲埼灯台

洲埼灯台の周辺一帯は、かつて露地栽培のマーガレットが盛んに行われていた地域です。昭和初期から中期にかけての話であり、温暖な気候と日照条件の良さが栽培に適していました。その名残から、灯台の立つ岬は「マーガレット岬」という呼び名でも知られています。今では花畑の面影は残っていませんが、名前だけが静かにこの土地の記憶を伝えています。

洲埼灯台

洲埼灯台は白く塗られた円筒形の灯台で、時間帯や天候によってさまざまな表情を見せます。特に夕方には逆光のシルエットが際立ち、空の赤みと灯台のコントラストが美しく映えます。夕日の時間帯に訪れると、海の水平線と灯台の姿が印象的な景色を作り出します。写真を撮る人にとっては、構図や光の加減で遊び心を持って楽しむことができる瞬間です。

洲埼灯台

マーガレット岬の愛称でも知られる洲埼灯台は、景色と歴史が重なる場所でした。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。