南房総の地震隆起段丘は、千葉県南房総市白浜町根本にある丘です。

南房総の地震隆起段丘は、地震によって隆起した段丘が連なり、階段状の地形となる地震隆起段丘です。館山市沼地区にちなんで、沼I~IV面と呼ばれています。最も古い沼I面は約6,000年前、最も新しい沼IV面は約300年前の元禄地震によって形成されたとされています。地震と地形変化を直接結びつけることができる貴重な例です。

近づいてみると、幾重にも重なる断層によって段丘が形成されていることが分かります。時間の経過とともに新たな地震が発生し、また隆起が起こることで現在のような階段状の地形ができあがっています。地層の重なりを見ることで、地震活動の歴史を知ることができます。

南房総の地震隆起段丘には、自然のままではなく、登ることができるように人工的に石段が整備されています。安心して登れる工夫がされており、地形を体感しながら歩くことができます。

石段を登ると、周囲を一望できる素晴らしい眺望が広がります。約6,000年前には、ここ一帯が海の底であったとは想像もできないほど、現在は高台になっています。遠くに広がる海と空の景色は、自然の力を感じさせてくれます。

段丘を登りきると、石鳥居と小さな神社が静かに佇んでいます。長い年月を経ても変わらずそこにある存在感があり、自然と歴史に包まれた雰囲気を楽しむことができます。石鳥居はとても立派で、歴史の重みを感じることができます。

石鳥居の近くには、石灯籠が並び、その先には参道が続いています。地域の人たちが今も手入れを続けているようで、きれいに保たれていました。ただ、この神社の正式な名前を示すものは見つかりませんでした。静かな神域が広がります。

境内には、小さなお地蔵様が祀られていました。地蔵の足元には、誰かが供えたと思われる貝殻が並べられており、素朴なお供物に心が温かくなります。土地と海とのつながりを大切にしてきた人々の気持ちが伝わってきます。

赤く塗られた小さな鳥居と社殿も見られます。色鮮やかな赤が緑の中に映え、目を引きます。誰もいない境内で、静かに風の音だけが響き、自然と自分自身を振り返る時間を持つことができます。

段丘を登った後に振り返ると、南房総の太平洋が目の前に広がります。石鳥居と石灯籠が並ぶ風景は、とても落ち着いた気持ちにさせてくれます。自然と歴史の中にいることを実感できる素晴らしい場所です。

南房総の地震隆起段丘は、自然と人とのつながり、そして地震の歴史を直に感じることができる貴重な場所です。石段を登りながら、過去の大きな地震とそこから生まれた地形を目の当たりにする体験ができます。静かで力強い場所でした。

機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。