富士山かぐや姫ミュージアムは、静岡県富士市伝法にあるミュージアムです。

富士山かぐや姫ミュージアムは、富士山信仰や地域の歴史・文化を伝える施設です。特に「かぐや姫が富士山に帰った」という伝承に焦点を当てています。本館では「富士山とかぐや姫」をテーマにした展示のほか、地域の歴史を紹介する「富士に生きる」「富士山の玉手箱」などの常設展示があります。

展示室は6つあり、第2展示室から先に進んでみたいと思います。

富士山の玉手箱は、収集されてきた富士山関連の資料を中心に、いつの時代も変わらない富士山への愛着や関心の姿を紹介しています。絵画、写真、陶磁器など、多彩な視点から富士山を捉えた展示が並び、地域の人々の暮らしとともにある富士山の姿を知ることができます。

寄贈された貴重なコレクションを展示するコーナーは、まるで玉手箱のようなライティングが施されています。展示されている陶磁器や書籍は、富士山をテーマにしたものが多く、一つひとつの品に込められた想いを感じることができます。

富士山の形をした瀬戸焼(愛知県)の蓋物が展示されています。裏面には「三峰園造」と記されており、「一富士、二鷹、三茄子」といった縁起の良いモチーフとしても親しまれています。

部屋の右手には、さまざまな場所から撮影された富士山の写真が展示されています。白黒写真からカラー写真まで、多様な時代の富士山の姿が収められており、その時々の風景の変化を楽しむことができます。

「富士山の麓で美しく成長したかぐや姫の向かった先は、月ではなく富士山だった。」この地域では、竹取物語とは異なるストーリーが古くから語り継がれてきました。かぐや姫の伝承にまつわる場所も数多く残されており、なぜかぐや姫は富士山で姿を消したのか、その世界観を深く掘り下げる展示がされています。

戦国時代から明治初年までの約350年にわたり、富士市内に存在した密教寺院「富士山東泉院」。この寺院は、富士山南麓にある五つの神社(下方五社)の管理・運営を行っていました。東泉院に伝わる「富士山縁起」には、富士山とかぐや姫の物語や富士山の伝説が記されており、富士山信仰の重要な拠点だったことが分かります。

江戸時代から明治時代にかけて制作された「富士山登山絵図」では、富士山へと続く登山道や信仰施設、名所旧跡が描かれています。当時の登山者のための案内図であり、富士山を中心とした信仰空間がどのように構成されていたのかが分かります。

富士川の西岸に位置する岩淵集落では、12年に一度、富士山の山頂に白木の鳥居を奉納する「鳥居講」という行事が続けられています。この行事は、富士山への信仰と地域の生活が結びついた貴重な伝統であり、現在ではほとんど見られなくなった歴史的な習慣の一つです。

情報コーナーでは、富士市だけでなく、日本各地に残る竹取物語のゆかりの地について紹介しています。竹取物語は、物語の枠を超えて各地の文化や観光にも影響を与えています。その発展の歴史を知ることができ、竹取物語が持つ奥深さを感じました。

富士山の石を集めたクリスタルオブジェは、とても印象的な展示でした。半透明の四角錐の形をしており、その中には富士山の石がぎっしりと詰まっています。光を通すと石のシルエットが浮かび上がり、不思議な雰囲気を醸し出していました。富士山の一部を間近に感じることができる貴重な展示です。

館内には、タッチ式のディスプレイを使った映像情報コーナーもありました。画面をタッチすると、解説が映像で表示され、視覚的に楽しみながら学ぶことができます。静止画やテキストだけでなく、動きのある映像が流れることで、より分かりやすく内容を理解できる工夫がされています。

静岡と山梨、それぞれの地域の特徴を紹介するパネル展示もありました。富士山を挟んで位置する両県の視点から、文化や歴史、自然環境の違いが詳しく説明されています。写真や図解を交えたパネルは視覚的にわかりやすく、比較しながら学べる工夫がされていました。富士山が地域ごとにどのように関わってきたのかを知ることができ、興味深い展示でした。

特別展示室5では、定期的に企画展やイベントが開催されます。訪れるたびに新しい発見があるのが特徴です。

訪れた際には、「伝えていくもの~博物館のNew Face~」という特別展示が行われていました。博物館の本来の役割である資料の収集・保管・展示について改めて考えさせられる内容で、特に新たに収蔵された貴重な資料が紹介されていたのが印象的でした。学芸員の熱意が伝わる展示で、とても興味深かったです。

博物館にとって収蔵資料は基礎となるものであり、それらをどのように集め、保存し、展示するかが重要なポイントになります。富士市にとって価値のあるものを未来に伝える役割を担うこのミュージアムでは、さまざまな資料が日々収集され、新たな収蔵資料として加わっています。

多目的室として利用される展示室6では、学用品やおもちゃ、昔の日用品などが展示されています。さらに、当時の写真や方言を聞くことができるコーナーもあり、懐かしい記憶がよみがえります。あの頃にトリップできる空間です。

展示室には、昭和30年代や40年代の部屋を再現したスペースがあります。円形のちゃぶ台、扇風機、箪笥、テレビなどが並び、昭和レトロな雰囲気が広がっています。

また、昭和50年代や60年代の部屋には、黒電話や炊飯器、掃除機、ランドセルなどが展示されており、時代の移り変わりを実感することができます。

いまではネット広告が主流ですが、当時は新聞に広告が織り込まれていました。色褪せた紙面が古びた雰囲気を醸し出し、時間の流れを感じさせます。

引き出しの中には、デザインに少し時代を感じる焼き鳥の白い缶が展示されています。非常に大きな缶ですが、価格設定を考えると意外と安く感じます。時間の経過とともに、その価値の捉え方が変わることを実感できる展示です。

この展示ゾーンは、当時を生きた人々にとって特別な場所です。懐かしいアイテムの数々が、記憶の奥に眠る思い出を鮮明に蘇らせます。ぜひ訪れて、その時代の空気を感じてみてください。

ライブラリでは、郷土資料やパンフレットを閲覧することができます。また、ビデオブースもあり、映像を楽しみながら地域の歴史を学ぶことができます。

ミュージアムショップでは、竹取物語にちなんだアイテムが販売されています。お土産にもぴったりなグッズが揃っているので、訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてください。

富士山かぐや姫ミュージアムは、地域に根ざした視点から富士山の歴史と文化を紹介する博物館です。特に、かぐや姫伝説と富士山信仰の関係に焦点を当てた展示は、他ではなかなか見られない貴重な内容です。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。