武田神社は、山梨県甲府市古府中町にある神社です。

武田神社は、戦国時代の名将・武田信玄公を御祭神として祀る神社です。「情けは味方、仇は敵なり」の名言でも知られる信玄公の偉業を称え、1919年に創建されました。神社の周囲には旧館跡や土塁など、信玄公にまつわる歴史遺産が点在しており、歴史と静けさのなかで参拝することができます。

武田神社はその外周を堀で囲まれ、堀に沿って朱色の欄干が続いています。堀には空が反射し、天気が良い日には水面に青空と雲が映り込み、まるで一幅の絵のような光景を見ることができます。周囲を散策しながら、景色をゆったりと楽しむことができます。
正面口に向かうと、のぼり旗が青空に映えていました。白地に黒文字の旗が、澄んだ空にリズムを添えています。のぼりが風になびく様子は、格式ある神社にふさわしい雰囲気を演出し、参道に足を踏み入れる前から心が引き締まる感覚を味わうことができます。

1月の初旬は特に混雑し、武田通りでは車が列をなして渋滞します。お正月の初詣シーズンには、周辺の交通規制が行われることもあります。訪れる際には公共交通機関を利用することで、よりスムーズに神社を目指すことができます。

この時期は、境内のお堀に沿って多くの出店が立ち並びます。焼きそば、たこ焼き、甘酒、綿菓子といった定番の品々から、地元の特産品を使ったものまで、幅広い屋台が並ぶ光景を見ることができます。屋台から漂う美味しそうな匂いは、訪れた人の五感を刺激し、歩くだけでも楽しい雰囲気に包まれます。食の魅力を通して、境内全体が一層にぎやかになります。

正面の参道には、神橋と呼ばれる朱色の太鼓橋がかかっています。橋の中央が少し盛り上がっていて、渡る際には自然と視線が上向きになり、気持ちも高まります。朱色の橋は堀の水面に映り込み、神社の入口にふさわしい美しい風景を形作っています。



神橋の先には、石段と鳥居が現れます。この石段はやや急ですが、手すりが備え付けられているので安心して登ることができます。鳥居の手前で一度振り返ると、橋や堀、並ぶのぼり旗が一望でき、神社までの道のりをしっかりと感じることができます。

武田神社の周囲には、歴史的に価値のある主郭土塁が残されています。敷地内には説明板が設けられており、当時の城館構造や信玄公の治世に関する知識を深めることができます。こうした遺構を通じて、神社の背後にある歴史を学ぶことができます。


石段を登りきると、正面にはシンプルな鳥居が立っています。扁額には「武田神社」と記されていて、堂々としたその書体に目を奪われます。控えめながらも強い存在感があり、そこに立つだけで神社の神聖さを体感することができます。


武田神社は甲府駅から北へまっすぐ進んだ場所にあります。鳥居から南を望むと、武田通りが一直線に伸びており、道の整然とした美しさを目にすることができます。道が一直線に続く構図は、視覚的にも印象深く、記憶に残る風景となります。

手水舎は参拝前に手を清めるための水を取る場所です。その形状やデザインは神社ごとに異なりますが、武田神社の手水舎は菱形になっています。武田神社の手水舎のデザインに菱形が使われていることは、その信仰対象である武田信玄への敬意や尊敬を表現しています。

境内は広々としており、一年を通して様々な表情を見せます。混雑する時期もあれば、人が少ない日もあります。季節ごとの変化を感じながら、何度も訪れることで違った魅力に出会うことができます。時間帯によっても雰囲気が変わります。
境内は常に清掃が行き届いており、清々しい空気が流れています。澄んだ青空と、生い茂る森の緑が調和し、境内全体が穏やかで落ち着いた空間に包まれています。歩くだけでも心が洗われるような感覚を得ることができます。

七五三の時期になると、境内では七五三の祈願や記念撮影が行われています。和装の子どもたちとその家族が集まり、晴れの日ならではの華やかな光景が広がります。祝福の気配に満ちたこの時期は、特に温かな気持ちになります。

拝殿の手前にも鳥居が設置されています。最初の鳥居とは異なり、境内の中央に構えるこの鳥居は、拝殿との距離感が近く、参拝の緊張感と神聖な雰囲気を一層高めています。複数の鳥居があることで、奥行きを感じる境内となっています。

拝殿は1919年に建てられました。入母屋造に軒唐破風を備え、屋根は檜皮葺という格式高いつくりです。どっしりとした構えで、神社の歴史と格式の高さを感じることができます。木材の風合いも美しく、年月を重ねた深みがあります。

武田信玄の家紋である武田菱が、拝殿や灯籠など至る所にあしらわれています。シンボルが繰り返し登場することで、信玄公とのつながりをより強く意識することができます。デザインとしても統一感があり、洗練された印象を受けます。
境内にはおみくじの自動販売機が設置されています。2021年2月23日時点では、文字が上から順に光る仕様になっており、視覚的にも楽しい演出を見ることができます。伝統と現代的な仕掛けが融合した、ユニークな設備の一つです。
2021年12月12日に再訪した際、おみくじの赤い文字は常時点灯状態になっていました。仕様変更か故障かは不明ですが、以前のような光り方は見られませんでした。この時期は機械の調子がやや不安定だったように見受けられます。
2023年11月24日の再訪時には、「おみく」は常に点灯しており、「じ」の文字だけが点滅するという不思議な光り方になっていました。小さな変化にも注目することで、神社を訪れる楽しみがまた一つ増えます。

2024年1月の時点では、おみくじの自動販売機は菱和殿に移設されていました。機械も修理され、正常な動作に戻っていたようです。おみくじを引く体験も含めて、参拝の記念として楽しむことができます。


武田神社の御神木は、樹齢600年とされるケヤキの木です。高さ約30メートル、幹回りは約10メートルで、甲府市指定の天然記念物に指定されています。「勝運」のご利益があるといわれ、木の根元に立つと力強さを感じることができます。

武田神社は、日本百名城の一つにも選ばれています。境内には登城記念のスタンプが設置されており、歴史ファンにとっての名所となっています。雨風をしのぐためのテントも備えられており、天候に関係なく見学を続けることができます。

武田神社は、夕方を過ぎると静けさを取り戻します。昼間の賑わいとは異なり、参拝者もほとんどいない時間帯には、神社本来の落ち着いた空気を感じ取ることができます。夕暮れ時の参拝は、別の意味で印象に残る体験となります。

武田神社は、歴史と信仰、四季の風景が調和する神社です。参拝だけでなく学びや発見の多い時間を過ごすことができます。
機会があれば、再度来てみたいですね。
それでは、また。
- 2021/02/23 初版
- 2021/12/12 更新
- 2023/08/25 更新
- 2024/01/07 更新
- 2025/01/05 更新