東海の名城 掛川城 (後編)

掛川城は、静岡県掛川市掛川にある城です。

掛川城

掛川城の入口で受付を済ませると、いよいよ天守閣の内部へ進むことができます。城内は伝統的な木造建築で、歴史を感じさせる雰囲気が漂っています。入口付近には靴を脱ぐ場所があり、城内を歩くと木の床が軋む音が響きます。掛川城の復元天守は、1994年に木造で再建されたため、現存天守と同じような温もりを感じることができます。

掛川城 1階

天守閣の1階には、掛川城やその歴史に関する資料が展示されています。戦国時代から江戸時代にかけての城の変遷や、復元工事の様子を知ることができます。また、掛川城にゆかりのある武将たちの説明もあり、城の歴史を深く学ぶことができます。城内の木の香りとともに、当時の空気を感じることができます。

掛川城の展示の中でも目を引くのが、戦国時代の武具や道具です。軍扇や軍配は戦場で指揮をとるために用いられ、武将たちの知略を感じさせます。さらに、馬に装着する鞍や、武士が身に着けた鎧も展示されており、当時の戦いの様子を想像することができます。細部まで作り込まれた装飾を見ると、武士の誇りが伝わってきます。

掛川城 1階

掛川城天守閣に実際に設置されていた鳥伏間の瓦が展示されています。鳥伏間は、棟瓦の先端につけられる「鬼瓦」の上に載せられる瓦のことで、鳥が留まり羽を休めることから「鳥休」とも呼ばれています。この鳥伏間は、2022年6月から行われた天守閣外壁(土佐漆喰)の修復工事の際に取り換えられたもので、長い年月を経て城を守ってきた証ともいえるでしょう。

掛川城 1階

掛川城の天守には「石落とし」と呼ばれる防御設備があります。これは1階の床の一部を石垣の上に張り出させ、敵が城壁をよじ登ってきた際に、上から石を落として攻撃するためのものです。戦国時代の城にはよく見られる仕掛けで、ここから敵を迎え撃っていたことを考えると、当時の戦いの厳しさが伝わってきます。

掛川城 1階

掛川城の天守閣内は、「石落とし」があるおかげで風が通る構造になっています。夏場は非常に高温になりますが、心地よい風が吹き抜けることで涼しさを感じることができます。昔の城は、防御だけでなく、快適に過ごせるような工夫も取り入れられていたことがわかります。

掛川城 1階

掛川城の外壁には「土佐漆喰」と呼ばれる特別な漆喰が使われています。これは糊を使わず、藁を発酵させて繊維質を分解したものを混ぜて作られるため、通常の漆喰よりも硬く、防水性に優れています。そのため、城の外壁として適しており、風雨から建物を守る役割を果たしてきました。

掛川城 1階

掛川城の天守閣には「狭間」と呼ばれる防御用の窓があります。これは鉄砲や弓矢を使って攻撃するためのもので、1階に9ヶ所、2階に14ヶ所設けられています。狭間の形には丸や三角、四角などの種類があり、これらの穴から外を覗くと、かつての武士たちがここから戦っていたことを想像することができます。

掛川城 1階

掛川城の天守閣内にある階段は非常に急な造りになっています。まるでハシゴのような角度で、登るのにも慎重さが求められます。これは、敵が攻め込んできた際に簡単に駆け上がれないようにするための工夫です。上に行くにつれて傾斜が厳しくなるため、当時の武士たちがどのように移動していたのかを実感することができます。

掛川城 1階

掛川城天守閣の入口に立つと、目の前には急勾配の階段が現れます。まるで壁のようにそびえ立ち、これを登るのかと一瞬ためらってしまうほどです。しかし、これこそが防御を重視した城の造りなのでしょう。城を守る工夫を感じながら、一歩一歩登っていきます。

掛川城 1階

階段をよく見ると、中央に仕切りがあり、縦に半分に分けられています。これにより、登る人と降りる人の動線が決まっており、上り下りがスムーズになっています。手すりもついているので、急な階段でも安心して登ることができます。一方通行なので、途中ですれ違う心配も少なく、安全に進めます。

掛川城 2階

2階に到着すると、意外にも広々とした空間が広がっています。壁には窓があり、外の景色を眺めることができます。戦国時代には、この窓から敵の動きを確認していたのでしょうか。天守閣の内部は狭いイメージがありましたが、実際に入ってみると意外と開放的に感じられます。

掛川城 2階

天守内には鯱の展示があります。鯱は想像上の海魚で、火除けの守り神として城や寺院の屋根に飾られました。掛川城の鯱は、袋井市の油山寺の山間や、高知城天守の鯱を参考に青銅で作られています。その大きさは長さ95センチメートル、幅35センチメートル、高さ120センチメートル、重さはなんと200キログラムもあります。実物を見ると、その迫力を実感できます。

掛川城 3階

3階に進むと、「武者隠し」と呼ばれる部屋があります。ここは、万が一の戦闘に備え、城主を警護する武者たちが待機していた場所です。普段は外から見えないようになっており、不意に敵が攻め込んできた際には、ここから奇襲を仕掛けることができたのでしょう。当時の城の防衛戦略を垣間見ることができます。

掛川城 4階

掛川城の天守閣の最上階に上がると、まるで上品な部屋のような空間が広がっています。壁や天井には落ち着いた木の質感があり、開放的な造りになっています。窓からは四方の景色が眺められ、風が心地よく吹き抜けます。戦国時代の物見の役割を果たしていたこの場所は、今では掛川の街並みを見渡す絶好の展望スポットになっています。

掛川城 4階

最上階の内部には、掛川城の歴代城主を紹介する展示があります。戦国時代から江戸時代にかけて、この城を治めた武将たちの変遷が詳しく説明されています。また、方角が分かるように工夫されており、東西南北の位置関係を確かめながら街並みを楽しむことができます。

掛川城 4階

最上階から見下ろすと、天守下門跡の様子がはっきりと分かります。現在は工事が進められており、かつての門の痕跡が確認できます。この門は、かつて天守閣を守る重要な役割を果たしていました。

掛川城 4階

東の方角には、掛川城の二の丸御殿が見えます。二の丸御殿は、江戸時代の大名の政務や生活の場として使われていた建物です。現存する数少ない御殿建築の一つであり、貴重な文化財となっています。天守閣からの眺めでは、その広大な敷地や歴史的な建物の姿を楽しむことができます。

掛川城 4階

天守閣の最上階からの眺めは素晴らしく、掛川の市街地を一望することができます。遠くには緑豊かな山々が広がり、眼下には歴史的な町並みが続いています。晴れた日には特に美しく、掛川の風景を存分に楽しむことができます。

掛川城 4階

掛川城の最上階は、歴史を感じながら美しい景色を楽しむことができる場所です。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。

浜松の歴史と成長を象徴する出世城 浜松城

浜松城は、静岡県浜松市中央区元城町にある城です。

浜松城

浜松城は、徳川家康が元亀元年(1570)に築城した城で、遠州支配の拠点としました。天守は三方ヶ原台地の東南端に位置し、城郭は「梯郭式」の構造を採用。家康が29歳から45歳まで在城し、多くの戦いを経験しました。後に歴代城主の多くが幕府の要職に就いたことから「出世城」と呼ばれるようになり、現在もその歴史を伝える資料が展示されています。

浜松城

浜松城公園からは、天守門へと続く道が整備され、ゆるやかな石段を登っていきます。春には桜、秋には紅葉が美しく、四季折々の景色が楽しめます。城の周囲には石垣が残り、野面積みの力強い姿を見ることができます。歩いていくと、次第に視界が開け、天守門へと近づいていきます。

浜松城

天守門は、2014年に復元されました。重厚な木造の門で、黒く塗られた柱と白い壁が美しいコントラストを生み出しています。門の上には櫓が設けられ、かつての城の防御機能が再現されています。門をくぐると、さらに石段が続き、天守閣へと進むことができます。

浜松城

天守門を通り抜けると、天守曲輪跡があります。天守曲輪跡は浜松城の中心部で、現在は広場になっています。ここからは、天守閣を間近に望むことができ、当時の城の構造を想像することができます。また、三方ヶ原台地の高台に位置しているため、遠くの景色も見渡せます。

浜松城

天守曲輪跡には、浜松城跡を紹介する説明パネルが設置されています。ここでは、石垣(野面積み)についての詳細な説明があり、浜松城の築城技術やその構造が紹介されています。また、浜松城の歴史に関する説明もあり、特に徳川家康が築いたこの城の役割や、戦国時代の背景が述べられています。

浜松城

天守門の先には、城のエントランスへと続く石段が続きます。この石段は、往時のままではありませんが、当時の雰囲気を残した造りになっています。登り切ると天守閣の入口があり、ここから浜松城の展示を見ることができます。

浜松城

浜松城の最終入場は16時30分となっているため、早めの訪問がおすすめです。特に天守閣からの景色を楽しみたい場合は、午後の明るい時間帯が良いでしょう。城内の展示も充実しているため、ゆっくり見学するには時間に余裕をもって訪れたいところです。

浜松城

天守閣の入り口は黒を基調とし、金色の装飾が施されています。門の縁には黒と金のコントラストが映え、格式の高さを感じさせます。復元された天守ですが、細部のデザインにはこだわりが見られ、歴史的な雰囲気を感じることができます。

浜松城

天守閣の入口付近には売店があり、浜松城ならではの土産物を購入することができます。歴史にちなんだグッズや、限定商品が揃っており、訪れた記念にぴったりのアイテムが見つかります。

浜松城

売店では、登城記念の御城印や浜松城限定の手形、出世大成家康公しかみ像のパワーカードなど、ここでしか手に入らないお土産が販売されています。家康ゆかりの品々が揃い、歴史ファンにも嬉しいラインナップとなっています。

浜松城

売店の近くにはおみくじも用意されています。歴史的な城で引くおみくじは、特別な雰囲気を感じさせます。結果には家康や歴代城主に関連する言葉が記されており、当時の偉人たちの教えを感じることができます。

浜松城

おみくじを引くと、結果に加えて家康や浜松城にゆかりのある人物の名前が書かれています。自分の運勢を歴史上の人物と照らし合わせるのも面白いポイントです。今回は「吉」でしたが、どんな人物にちなんだ言葉が書かれているかを楽しむことができます。

浜松城

浜松城の1階には、徳川家康が所用したとされる「歯朶具足(しだぐそく)」の複製が展示されています。現品は重要文化財として久能山東照宮博物館に収蔵されており、ここでは精巧に再現された甲冑を見ることができます。

浜松城

浜松城の2階では、歴代城主の紹介や、浜松城の変遷を学ぶことができます。譜代大名が歴代城主を務めた背景や、城の改修の歴史などが詳しく解説されており、当時の様子を知ることができます。

浜松城

館内には、江戸時代後期の浜松城と城下町を再現したジオラマが展示されています。ナレーション付きで当時の町の様子が解説され、歴史的な街並みを立体的に楽しむことができます。

浜松城

浜松城は、かつて引間城があった場所に築かれました。そのため、城内や城下町からは引間城時代の遺物も多く発見されています。代表的なものに「桔梗紋軒丸瓦」がありますが、これは武田氏の影響を受けたものとされています。また、「無字銭紋軒丸瓦」も見つかっており、当時の瓦造りの特徴を知ることができます。さらに、本丸南側の堀から出土した遺物や、城下町の発掘調査で見つかった陶器や貨幣なども浜松城の歴史を物語っています。

浜松城

浜松城は、浜松のシンボル的な存在として、多くの人々にその歴史を伝えてきました。徳川家康が17年間在城し、その後の将軍たちに影響を与えた「出世城」としての背景もあり、浜松城は単なる歴史的建造物ではなく、都市の発展とも密接に結びついてきました。現在では、浜松城公園の中心に位置し、市民や観光客にとって憩いの場となっています。春には桜が咲き誇り、季節ごとに美しい風景を楽しむことができます。

浜松城

浜松城のある浜松城公園には、本丸やその右垣、堀跡が見られます。江戸時代の絵図には、周囲に石垣や堀が巡り、大規模な門や櫓が並ぶ様子が描かれており、その厳かな造りが伺えます。発見された岩量や端の斜面などを基にすると、その規模は南北約130メートル、東西90メートルほどだったと推定されています。これらの遺構は、江戸時代以前に築かれたものであり、紅音崎代を通じて引き継がれていた可能性が高いとされています。

浜松城

「二の丸」は浜松城本丸の東側に位置し、広さは約4950平方メートルで、城主の居館と藩政の中心でした。主な建物は「表御殿」と「奥御殿」で、「表御殿」には藩の行政機関が置かれ、広間や部屋が効率よく配置されていました。「奥御殿」は城主の居間や部屋が配置され、生活と執務が便利に行えるよう設計されていました。現在、二の丸跡地は浜松市役所や浜松市立旧元城小学校の一部となっています。

浜松城

浜松城には、築城以前の引間城時代の出土品や、城の歴史を示す遺物が数多く残されています。また、現在の天守閣が復興された過程を知ることができる貴重な資料も保管されています。城の歴史を知ることで、徳川家康の時代から現代に至るまでの浜松城の歩みを深く感じることができます。

さらに上には、展望台があるので、今から行ってみたいと思います。

それでは、また。

歴史と眺望を楽しめる城 浜松城 出世城からの展望

浜松城 出世城からの展望は、静岡県浜松市中央区元城町にある展望台です。

浜松城

浜松城は、徳川家康が29歳から45歳までの17年間を過ごした城です。「出世城」とも呼ばれ、多くの城主が後に幕府の要職に就きました。現在の天守は昭和33年に再建されたものですが、往時を偲ばせる石垣は江戸時代のままです。

浜松城 出世城からの展望

浜松城の天守は展望台として整備されており、市街地や自然の景色を一望することができます。北には三方ヶ原古戦場、南には遠州灘、西には浜名湖が広がり、天気の良い日には東に富士山を望むこともできます。城の歴史とともに、現代の浜松の街並みを見渡せる貴重なスポットです。

浜松城 出世城からの展望

浜松城の最上階は天守となっており、広々とした展望スペースが設けられています。ここからは四方の景色を見渡すことができ、特に晴れた日は遠方まで視界が開けます。城内には、家康の時代をはじめとする歴代城主の家紋が天井に配置されており、歴史的な趣を感じることができます。浜松の中心部に位置するため、市街地の景色も間近に楽しむことができます。

浜松城 出世城からの展望

天守から北東方向を見ると、かつて富士見櫓があった場所が確認できます。富士見櫓は、江戸時代に築かれた見張り台の一つで、ここから富士山を望むことができたとされています。現在は遺構が残るのみですが、天守から眺めると、その位置や役割を想像することができます。歴史を感じながら、当時の城の姿を思い描くことができる場所です。

浜松城 出世城からの展望

天候に恵まれた日には、富士見櫓のある方向に富士山の姿を望むことができます。遠くの景色のため、くっきりと見えるわけではありませんが、空気が澄んだ日にはその美しい姿がはっきりと確認できます。江戸時代には、もっとはっきりと見えていたのかもしれません。天守からの景色の一つとして、訪れた際には探してみるのも良いでしょう。

浜松城 出世城からの展望

天守の近くにある葵広場には、徳川家の家紋である「三つ葉葵」がデザインされています。ここは歴史を感じられるスポットの一つで、かつての浜松城の敷地の一部でもあります。広場は整備され、休憩しながら景色を楽しむことができる空間となっています。家康ゆかりの地として、多くの人が立ち寄る場所となっています。

浜松城 出世城からの展望

天守の東側には、浜松駅方面の景色が広がっています。かつては遠くまで見渡せる風景が広がっていましたが、現在は高層ビルが立ち並び、近代的な都市の姿を見せています。その中でも特に目を引くのが、アクトタワーです。浜松市のランドマークとしてそびえるこの建物は、天守からの景色に現代的なアクセントを加えています。

浜松城 出世城からの展望

天守から見下ろすと、かつての天守曲輪跡が広がっています。この曲輪は、天守を防御するために設けられた重要な区域であり、今でもその形状が確認できます。現在は整備されて広場として活用されており、散策することもできます。上から眺めることで、城の防御構造をより深く理解することができるでしょう。

浜松城 出世城からの展望

浜松城は、家康が過ごした歴史ある城で、天守からの展望が楽しめます。富士見櫓跡や天守曲輪跡など、往時を偲ばせる景色も見どころの一つです。

機会があれば、再度来てみたいですね。

それでは、また。